同姓の「踏み絵」、ダメと言わない最高裁 元判事に聞く

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根岸拓朗
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 結婚する夫婦は同じ姓でなければならないという規定は「合憲」である――。23日に最高裁大法廷が示した判断を、あの人はどう受け止めたのか。決定が出た日の午後、会いに行った。

 元最高裁判事の山浦善樹さん(74)。同じように「合憲」の結論となった2015年の最高裁判決で、「この規定は憲法違反だ」と反対意見を示していた。

やまうら・よしき 長野県旧丸子町(現上田市)出身。1974年に弁護士登録。地域住民の依頼を引き受ける「マチ弁」として長く活動。山梨学院大や筑波大の法科大学院の教授を経て、2012年3月から16年7月まで最高裁判事を務めた。

 いまは東京都内で、弁護士として活動している。23日午後に訪ねると、彼は最高裁の決定を読みながら、蛍光ペンを走らせていた。

 「(合憲とする)結論は変わらなかったが、半歩前進だと言える。前回よりも中身が詰まった議論がされたのだろうと思う」。山浦さんはそう語った。

 決定の「結論」にあたる多数意見は、A4で2ページに満たない。6年前の最高裁判決をただ追認したようにうつる。それでも山浦さんがこう言うのは、夫婦同姓を強いる規定を「違憲」とした反対意見の中身の濃さゆえだ。

 「反対意見のほうが明らかに説得力がある。裁判官15人が舞台俳優だとしたら、反対意見を述べた人の演技のほうが感動的だ」

 6年前の最高裁判決にあたって最高裁判事たちと議論するなかで、自らが夫婦同姓の規制を「踏み絵」と表現したのを思い出したという。

 「結婚する2人が夫の両親に『妻の姓を名乗る』と言えば、その両親は息子に『お前、あんな女性で大丈夫か?』と言うのではないか。結局、女性の側が折れるしかないのが現状だろう」

 しかし、今回の結論も、15年の判決と変わらず「姓のあり方を決めるのは立法政策であり、国会に委ねる」というものだった。山浦さんは「憲法や法律がある前に、まず結婚がある。その普遍性を考えるべきだ」と指摘する。

 「姓を捨てろと踏み絵をさせることで、人としての基本的な権利が侵害されているのに、『国会に任せる』のはおかしい。裁判所として『だめなものはだめ』と言うべきだろう」

 反対意見のほうが説得力があるのであれば、なぜ最高裁は「違憲だ」と言えないのか。

 要因のひとつとして挙げるの…

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