「陛下は開催で感染拡大しないか懸念と拝察」宮内庁長官

杉浦達朗

 天皇陛下が名誉総裁を務める東京五輪パラリンピックについて、宮内庁の西村泰彦長官は24日の定例会見で、陛下が新型コロナウイルスの感染状況を心配しているとし、「開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している」と述べた。

 五輪の開会式が近づく中での考えを問われ、そう言及した。西村長官は「私が肌感覚として受け止めているということ」とし、「直接そういうお言葉を聞いたことはない」と説明した。

 また、西村長官は「陛下が名誉総裁をお務めになる五輪・パラリンピックで、感染が拡大するような事態にならないよう感染防止に万全を期していただきたい」とも述べた。

 これまで、日本で開かれた五輪では当時の天皇が開会式に出席し、開会宣言をしている。1964年の東京五輪、72年の札幌冬季で昭和天皇、98年の長野冬季では上皇さまがそれぞれ開会を宣言。今夏の五輪でどうするのかについて、政府は「開会式の具体的な内容は関係者間で調整している」としている。

 西村長官の発言について、加藤勝信官房長官は24日の記者会見で「宮内庁長官自身の考えを述べられたと承知している」と語った。加藤氏は「安全安心の大会を実現していく。そして国民のみなさんに安全と思って頂けるように取り組んでいく。引き続き関係者と緊密に連携しつつ、安全安心な環境を確保することを最優先に、大会に向けた準備を着実に進めていきたい」と述べた。

 大会組織委員会の武藤敏郎・事務総長は24日夕、西村長官の発言の受け止めについて問われ、「私どもは、国民のみなさま、都民のみなさまの不安がないような安全安心な大会を開催することが、責務であります。その実現に最善を尽くしたいと思います」と述べた。

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 宮内庁の西村泰彦長官と宮内記者会の会見でのやりとりの要旨は次の通り。

 (質問)オリンピックの開会式が近づいてきたが、関係機関との調整状況など、長官のお考えを

 (長官)調整中でこの場でご紹介できるような状況ではございません。ただオリンピックを巡る情勢としまして、天皇陛下は現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を大変ご心配しておられます。国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁をお務めになるオリンピック・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されている、ご心配であると拝察しています。私としましては、陛下が名誉総裁をお務めになるオリンピック・パラリンピックで、感染が拡大するような事態にならないよう組織委員会をはじめ関係機関が連携して感染防止に万全を期していただきたい、そのように考えています

 (質問)ワクチン接種、陛下は

 (長官)この場ではご紹介できるような事態になっていません

 (質問)五輪について開会宣言する場合、その文言はオリンピック憲章で決まっていて、祝うという文言が入ることになる。中止論もある中で、陛下が大会開催を祝福するような文言を述べるのはどうか

 (長官)ご指摘の通り、IOCのプロトコルで決まっていますので宮内庁として意見申し上げることは控えたいと思いますが、オリンピックを巡る情勢は先ほど申し上げたとおりで、私としては感染防止に徹底を尽くしていただきたいということに尽きます

 (質問)宮内庁として、文言の変更を申し出るような考えは

 (長官)今のところはありません

 (質問)陛下が五輪が感染拡大のきっかけになるのを懸念されているというのは長官の拝察ということか

 (長官)拝察です。日々陛下とお接しする中で私が肌感覚として受け止めているということです

 (質問)仮に拝察でも長官の発言としてオンだから、報道されれば影響あると思うが、発信していいのか

 (長官)はい。オンだと認識しています。私はそう拝察し、感染防止のための対策を関係機関が徹底してもらいたいとセットで

 (質問)これは陛下のお気持ちと、受け止めて間違いない

 (長官)私の受けとりかたですから。陛下はそうお考えではないかと、私は思っています。ただ陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはありません。そこは誤解ないようにお願いします(杉浦達朗)