サクランボ争奪戦、原因は温暖化?生き残りをかけ大実験

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片田貴也
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 サクランボの季節。今年は1996年以来の不作が見込まれて値段が上がり、特に贈答用の箱入りは「争奪戦」の状態だ。

 その背景にあると言われるのが「地球温暖化」。和歌山南高梅も昨年、過去10年で最少の収穫量で、その影響が指摘された。

 生産現場では、将来的に栽培が難しくなることを見すえた「実験」も始まっている。

価格高騰、争奪戦も

 「今年はひどいを通り越している。収穫量が少なすぎて争奪戦だ」。

 山形県内の約15ヘクタールの畑でサクランボを栽培する東根市にある苗木販売会社「天香園」の社長、岡田貴之さんはこう話す。4代続くサクランボ業者で、曽祖父は全国ブランド「佐藤錦」の名付け親だ。

 山形県によると、今年の収穫量は平年比68%の9500トンほどの見込み。1万トンを下回れば96年(9260トン)以来の凶作となる。

 価格も上がっている。農畜産業振興機構によると、今年6月1日~22日の山形県のサクランボの単価は、平均で1キロあたり2741円。県によると、昨年6~7月下旬の単価の1・3倍ほどで、過去10年で一番高い。

 収穫量が減ったことで、これまで取引のある販売先への出荷の量も足りず、新規の販売先への出荷を断念する農家も出ているという。

原因は春先の霜、温暖化が影響か

 不作の理由の一つは、4月中~下旬の降霜で、雌しべが凍って枯死したこと。背景には、温暖化の影響が指摘されている。

 一般的に、温暖化では春の気温上昇が顕著で、春先の気温が高いと発育が進んで寒さへの耐性が弱まる一方、近年は気温変動も激しい傾向で、霜の被害(霜害)の危険性が高まる。県によると、今年は春先の気温が平年より3~5度高く、発育が進んだという。

 農業への影響を研究する農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の杉浦俊彦・農学博士は「温暖化で霜害が増えている。今年の不作も温暖化が関連している可能性がある」と指摘する。

 岡田さんも、「最近は山形は暑すぎて、サクランボが作りにくくなっている」と話す。

 変化を実感したのは15年ほど前から。雨で果実が傷むのを避けるため木の上にビニールをかけるが、気温が高すぎて熱がこもり、実が柔らかく張りがなくなる現象が出始めた。果実の着色が悪くなる高温障害や日焼けする症状が出る頻度も多くなった。

 山形県はサクランボの生産で全国約7割のシェアを占める。山形地方気象台などによると、年平均気温は上昇傾向で、100年あたりで1・2度上昇。県によると、頻繁でないとしつつも、初夏に高温が続き、実の色づきが悪くなったり、脱水症状になったりして品質が落ちる現象が報告されている。

 県は2015年、温暖化の対策ビジョンを作成し、新たな作物の栽培など対策の検討を進めている。高温にも対応できる品種の開発などを進めてサクランボのブランドを守る一方で、スダチなどの新品種の適応性の実験も行っている。

生き残りをかけ「大実験」

 なんとか生き残りを図りたい――。

 将来を見据えて岡田さんが始…

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