ろうきんのハラスメント対策、なぜ「国際基準」に

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藤崎麻里
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 仕事で起こるあらゆるハラスメントの廃絶をめざす国際労働機関(ILO)のハラスメント禁止条約が25日、発効する。法整備が遅れる日本は今のところ蚊帳の外だ。だがそんな中でも国内法の枠を超え、「国際基準」のハラスメント対策を採り入れた業界がある。

 働く人のための金融機関を理念に掲げる労働金庫は「ろうきん」の愛称で知られる。今春、全国のろうきん約600店の職員らでつくる「全国労働金庫労働組合連合会(全労金)」と、経営側の業界団体「全国労働金庫協会(労金協会)」が協力し、ハラスメント対策の統一指針を作った。そこにはこう書かれている。

 「政府指針のハラスメント定義に該当しない事案でも、使用者責任が及ぶ事案にはしっかり対応していくことで『あらゆるハラスメントの根絶』をめざす」

 日本政府は、職場のパワハラセクハラを法律で定義し、企業に相談窓口の設置などを求めている。だがこれらの内容では、2019年6月に採択されたILOのハラスメント条約を批准できない。ハラスメントの定義が狭く、行為自体を禁じる規定がないことなどが問題視されている。

 全労金は17年ごろから対策を練り、ILOの動きにも注目していた。条約採択直後の19年7月にはその内容を踏まえた規定の導入などをめざす決議をした。

 実際、全労金が労金協会に呼びかけて作られた指針は国内法よりハラスメント行為を広めに定義する。保護の対象は身内の従業員に限らず、求職者、就活生、ボランティアなどを含めた。働く場だけでなく、通勤中、懇親の場、メール、SNSなどにまで広げた。

 被害者や通報者を加害・報復から保護する措置も講じる。ただ民間が違反者に科せる制裁には限界があるため禁止規定に罰則をつけず、「厳正に対処する」という表現にとどめた。今後、各労働金庫などに対し、指針に基づく規程の改訂や態勢の整備を促す。

 多くの企業が政府の指針に沿…

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