女性議員活動を本に 茨城・境町の内海さん

鹿野幹男
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 茨城県境町の元町議・内海和子さん(79)が今春、数少ない女性議員として活動した記録を本にまとめ、自費出版した。結婚で町外から来た「よそ者」として、男性主流の政治の世界に風穴を開けようと奮闘した22年間の軌跡をつづっている。

 内海さんは、東京都品川区の洋服仕立屋の長女として生まれ育った。都内のシナリオライター養成学校で出会った境町出身の夫との結婚を機に1970年、町に移り住んだ。

 周囲には、古い「イエ」意識に縛られた窮屈な親戚づきあいに悩む女性たちがいた。議会を傍聴すれば、議員も執行部も男性だけ。選挙のたびに「怪文書」が飛び交う状況を見て、「地盤も看板(知名度)もカバン(資金)もない女性の自分が議員になって、町を変えたい」と考えた。子育てがほぼ落ち着いた95年、町議選に立候補した。

 PTA活動や女性向けのミニコミ紙の発行を長年続け、知り合いが多かっただけに、応援を期待した。しかし、あいさつ回りをしても「表だっては無理」「親戚が議員だから」などと断られ、落選した。

 家族以外で選挙戦を支えたのは女性が大半。「保守的な地盤では、男性の応援がないと信任を得にくい」と痛感した。雪辱を期した99年、後援会長や選挙カーの運転手、事務局長を男性に担ってもらい、初当選を果たして唯一の女性議員となった。

 当選後は、古い慣習が残る役所や議会とのせめぎ合いが続いた。「勉強させてください」と言うと、「勉強してから議員になるんじゃないのか」と皮肉を言われた。自分のホームページで議会を批判すると、議長から「品位を損なう」などと真意を問いただされた。

 再び落選の憂き目に遭いながらも、2017年まで通算約14年間、町議を務めた。一般質問を通じて、役所の女性行政専門窓口や分煙コーナーの設置などの政策を実現。副議長も経験した。「長く議員を続けてつきあいが深まると、男性議員にも意見を言いやすくなった」と振り返る。

 そんな経験を振り返った著書「ラブコールさかい 女に議員はムリですか?」(梨の木舎、税込み1870円)を3月、発刊した。

 今月6日の町議選(定数12)では、新顔に志を託したところ、1017票を獲得して4位で初当選し、唯一の女性議員となった。内海さんは初挑戦時、268票だったので4倍近い。約四半世紀を経て、時代が女性の政治参加を求めていると実感している。「でも、まだ足りない。男女平等を実現するため、もっと女性議員が増えてほしい」(鹿野幹男)

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