古墳歩きスケッチ、和歌山電鉄のリーフレットに

国方萌乃
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 40年にわたって全国の遺跡を歩き、出土品などを「野帳」にスケッチしてきた男性がいる。スケッチの美しさがアートとして高く評価され、展覧会が開かれたことも。和歌山電鉄和歌山市)は男性とコラボし、貴志川線沿線の古墳をスケッチと共に紹介するリーフレットを作った。

 大阪府羽曳野市教育委員会職員の河内一浩さん(59)=岩出市=は、小学生の頃からハニワ好き。考古学を専攻していた大学時代、文房具メーカーのコクヨ(本社・大阪市)が販売する「測量野帳」と出会った。「ちょうどいい硬さのハードカバーで、立ちながらスケッチできる」。常に持ち歩き、遺跡の風景や出土品の土器、ハニワなどを描いてきた。今使っている野帳で565冊目になるという。

 当初は鉛筆だけで描くシンプルなものだったが、きれいな首飾りを見た時などに「この色も記録に残したい」と思うようになった。20年ほど前から絵の具や色鉛筆で彩色を始めた。

 すると、周りから「コピーさせて」と声をかけられることが増え、「野帳アート」として一躍有名に。2016年に京都で開かれた「世界考古学会議」では、関連イベントで河内さんの野帳が展示された。自身のインスタグラムのアカウント(@haniwabito)でも公開している。

 羽曳野市教委で文化財保護課に勤務するなど、仕事でも考古学に携わってきた。ただ、550冊を超える野帳は、あくまでプライベートで訪れた遺跡で記したものだ。

 カメラも持ち歩くが、河内さんにとって、レンズ越しでは現場を「見た」ことにはならない。大作を描く時は、2時間立ちっぱなしでスケッチすることもある。「自分の目で見て自分の手で形を描くことで、風景や出土品の姿を自分の中にとどめておける」

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 和歌山電鉄が作ったリーフレットは広げるとA3判の大きさで、貴志川線沿線の古墳を紹介する。岩橋千塚古墳群(国特別史跡)など1千基が沿線に集中しており、電車にゆられながら、窓から見える古墳を楽しんでもらう狙い。和歌山駅―貴志駅の路線図に、河内さんが描いた古墳の風景などのスケッチが添えられている。沿線の有人駅や和歌山市の県立紀伊風土記の丘などで入手できる。

 河内さんのおすすめは、貴志駅にさしかかる時に見える三昧塚古墳。ひと目で古墳とわかる形をしているといい、「『貴志駅~』のアナウンスと共に、窓から古墳が見える風情を楽しんでほしい」と話す。(国方萌乃)