博士は風を読み取った 五輪へつながった3回目の跳躍

辻隆徳
[PR]

 陸上の東京オリンピック代表選考会を兼ねた第105回日本選手権大会が24日、大阪・ヤンマースタジアム長居で開幕した。男子走り高跳びは、日本記録を持つ戸辺直人(JAL)が2メートル30を跳んで2大会ぶり4度目の優勝を果たした。

 前の選手が脱落し、跳べば優勝という緊迫した場面で、男子走り高跳び戸辺直人(JAL)は冷静だった。

 「最初の2本は風に翻弄(ほんろう)された。風をしっかり見て、技術的に、丁寧に跳ぶことを心がけた」

 2メートル30の3回目で、この日初めて観客席に手拍子を求めた。リズムよく助走し、ぎりぎりでバーを跳び越えた。自分の胸を2度たたいて、人さし指を突き上げた。

 日本記録の2メートル35をマークしたのはもう2年以上前。昨季は不調続きだが、へこたれることはなかった。高跳びをテーマに博士号を取得した顔も持つ戸辺らしく、冬季に自分を徹底的に分析。技術的な練習に時間を費やし、「今は(2メートル)35や40を明確にイメージできている」と自信を深めた。

 この日は五輪参加標準記録(2メートル33)には届かなかったが、今回の優勝で世界ランキング上位者に与えられる出場権をほぼ手中にした。「僕は5月9日の五輪テスト大会から本番(五輪)を見据えて戦略的に試合をしぼってきた。今日はひとつのステップ」。29歳で迎える初の大舞台で、「研究」成果を出す。(辻隆徳)