2019年秋、英国側から日本政府に東京五輪・パラリンピックを狙ったサイバー攻撃に関する情報提供があった。
複数の日本政府関係者によると、提供されたのは「オリンピックのシステムを狙った偵察攻撃が仕掛けられている」との情報だったという。
それから5カ月後の昨年4月、日本オリンピック委員会(JOC)がサイバー攻撃を受け、事務局のすべてのパソコンやサーバーを交換していたことが分かった。
これらの関連はわかっていないが、JOCへの攻撃は五輪が直面する脅威の一端を浮き彫りにしたと言える。開幕まで1カ月を切った五輪のセキュリティー対策は大丈夫なのか。
ロシアの「サイバー偵察」
英外務省は昨年10月、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)が東京五輪・パラリンピックの関係者や関係組織にサイバー攻撃を仕掛けていたと発表した。前年に日本政府関係者にもたらされた情報は、この発表に関連したものだったという。
関係者によれば、英国側は日本政府に情報提供する際に「サイバー偵察(cyber reconnaissance)」という言葉を使っていたという。
この聞き慣れない言葉は、ネ…
- 【解説】
東京五輪を標的にしたサイバー攻撃では、ロシア軍の情報部隊GRUの関与が疑われています。先日の米ロ首脳会談では、バイデン米大統領がロシアによるサイバー攻撃問題を取り上げました。しかし、プーチン大統領は様々な疑惑を完全否定。会談後の記者会見では
- 【視点】
オリンピックへのサイバー攻撃は、2008年の北京大会時点で1日あたり1000万回以上あったと言われています。大会のデジタル化が進むにつれ、ロンドンやリオデジャネイロ、平昌など後続の大会は北京以上の激しいサイバー攻撃にさらされてきました。