第6回止まらない「戦狼外交」 遠い「愛される中国」への道

有料会員記事

北京=冨名腰隆
写真・図版
中国共産党100年「強国」の現在地⑥ デザイン・川添寿
[PR]

 中華人民共和国憲法の前文には、「中国の革命の成就は世界の支持と切り離せない」との一文がある。だが、力を増す中国は国際社会とのあつれきをしばしば生んでいる。「世界に認められたい」と願っているはずの中国外交が道半ばであることは、国外での暮らしを経験した中国人ほど強く感じている。

 英国留学を経験した後、中国南部の山岳地帯・江西省井岡山で観光ガイドを務める毛浩夫さん(32)は、共産党への入党を希望している。井岡山は1927年、毛沢東が農民を率いて挙兵した「革命の聖地」として知られる。

 祖父は党宣伝員、父は党史研究者という共産党一家で育ったが、10代の頃の毛さんに党への関心はなかった。当時の夢は金融マン。「ロンドンシティーでコーヒー片手にあくせく働く未来を描いていた」。目標通り、毛さんは大学を卒業すると英国の大学院に留学した。

写真・図版
中国共産党の革命聖地・江西省井岡山で働く毛浩夫さん。「国家間の対立は一朝一夕に解決しない。力を尽くしたい」と語った=2021年4月10日、冨名腰隆撮影

 だが、世界から集った学生との交流は、毛さんに「自分は何者か」という問いを突きつけた。「異なる文化や価値観に触れたくて外国へ出たが、同時に中国を知ってほしいと強く思うようになった」。4年前、毛さんは井岡山の実家に戻った。

 「イデオロギーの異なる欧米との対立は、一朝一夕には解決しない。ただし共産党の奮闘によって中国の暮らしは確実に良くなっている。私は世界の中国観を変えたい」。その原動力を問うと、毛さんは「共産党への信仰だ」と言い切った。

写真・図版
中国共産党の革命聖地・江西省井岡山の家庭には毛沢東の肖像画が目立つ。袁国栄さん(70)は「共産党は米国の圧力にも屈しない」と語った=2021年4月10日、冨名腰隆撮影

 毛さんのように国外生活を経て愛党精神に目覚めた者がいれば、その逆もいる。

中国共産党の結党から100年。連載「『強国』の現在地」は、世界の盟主の座を見すえ、米国との覇権争いに挑む共産党の力の源泉や、待ち受ける課題を探ります。連載の最終回は国際社会における中国の立ち位置を取り上げます。

 北京で建設会社を経営する男…

この記事は有料会員記事です。残り1958文字有料会員になると続きをお読みいただけます。