パナソニック、テスラ株を4千億円で売却 提携は維持

森田岳穂
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 パナソニックは25日、保有する電気自動車(EV)大手米テスラの全株式を約4千億円で売却したことを明らかにした。EV向け電池などでの協業は続ける。4月に米ソフト大手を7700億円で完全子会社化すると発表するなど資金需要が増しており、テスラ株の売却資金で財務基盤を強化する狙いとみられる。

 パナソニックは2010年、テスラの当時の発行済み株式の約1・5%を約24億円で取得。EV用電池の共同開発などの協業を進めてきた。テスラ向け事業の収益化では苦戦が続いたが、21年3月期に黒字化を達成した。

 株式は3月末までに売却し、テスラには事前に通知したという。パナソニック広報は「コーポレートガバナンス・コードに従い、政策保有株式の見直しを行った一環。パートナーシップに影響を与えるものではなく、引き続き良好な関係を継続している」とコメント。売却目的については「今後の成長投資資金への充当を検討している」とした。

 パナソニックは車載電池を収益の柱の一つと位置づけるが、EV用の電池では中韓勢も躍進している。走行距離を延ばすための容量の大型化や価格を巡る競争は激しく、巨額の投資を続ける必要がある。

 また、完全子会社化する米ソフト大手ブルーヨンダーが得意とする製造現場や物流網の効率化も、今後成長を見込む分野だ。だが買収額が巨額で、財務体質の悪化が懸念されていた。テスラ株の売却で得た資金で、こうした投資や買収の費用を賄うとみられる。

 パナソニックがテスラと提携したのは07年。EV用電池の供給は09年に始めた。出資した10年時点ではテスラはまだ1千台ほどの販売実績しかない「ベンチャー」だったが、その後に急成長した。17年からは米国で車載電池を共同生産し、テスラの量産車向けに供給。テスラが開発を目指す新型電池の納入に向けた試作も進めている。

 パナソニックが保有していたテスラ株の時価総額は昨年3月末時点で約808億円だった。だが、世界的な環境意識の高まりでEVの普及が急速に進むとの見方が日増しに強まり、株価はその後に急伸。出資した10年時点の100倍以上に膨らんだ。(森田岳穂)