東芝の株主総会 永山・取締役会議長らの再任を否決

小出大貴、鈴木康朗
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 東芝は25日に東京都内で開いた株主総会で、11人の取締役候補のうち取締役会議長を務めてきた永山治氏ら2人の再任を否決した。昨夏の総会を巡って株主に「不当な圧力」をかけたという外部調査の指摘を受け、責任を重くみた株主が反対票を投じた。経営側が提案した人事案が拒否されるのは異例で、日本企業の株主との向き合い方に広く影響を与えそうだ。

 再任を否決されたのは、中外製薬の名誉会長でもある永山氏と監査委員を務めてきた公認会計士の小林伸行氏。議長は経営の意思決定や監督を担う取締役会を差配する重要ポストで、総会後に開いた取締役会では綱川智会長兼社長が兼ねることが決まった。投資銀行出身のジョージ・オルコット氏が同日、選出直後に取締役を辞退したことも公表された。

 今月10日に出された外部報告書は、昨夏の総会に筆頭株主の「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が出した人事案の成立を防ごうと、東芝と経済産業省が一体となり、エフィッシモやほかの海外株主に不当な圧力をかけたと認定。経営監視役の監査委員会が機能不全に陥っていたとも指摘した。

 指摘を受け、東芝は決定済みの人事案から監査委員長を務めてきた太田順司氏ら2人を急きょ外すなどして今年の総会に臨んだ。しかし、監査委員だった小林氏と人選に責任を負う指名委員会のトップだった永山氏の再任には批判の声が強く、議決権行使を株主に助言する米大手2社も「反対」を推奨していた。

 東芝は今後、取締役の欠員について臨時の総会を開いて選び直す方針だ。監査委員会の体制を改めたうえで圧力問題の再調査を行い、責任の所在も明らかにするとしている。

 経産省は報告書の内容を受け入れておらず詳しい説明もしていない。東芝は原発や防衛関連の技術を持つ重要な企業だとして、特別な対応をとるのは当然だとする。梶山弘志経産相は25日午前の会見で、安全保障の観点から外国人投資家の権利を一部制限できるいまのルールについて、規制強化の必要性を示唆した。あらたな法整備を含め検討するとみられる。「今回の事案の展開も注視しつつ、特定の企業の経営環境が不安定となり国にとって重要な事業や技術開発を損なうことになると判断される場合には、一定の抑止を可能とする方法がないか政府部内で検討されていく」と述べた。

 経産省は25日夕方に、「東芝には株主との対話を通じたコーポレート・ガバナンス企業統治)の向上をはかりつつ、国の安全の確保にとって重要な事業や技術の安定的な発達がはかられることを期待する」とのコメントを出した。(小出大貴、鈴木康朗)