「コロナ禍は戦争」強権の欧米にみる国家観 佐伯啓思氏

[PR]

異論のススメ・スペシャル

 新型コロナ騒動もようやく先が見えてきたようである。変異株が気になるところだが、ワクチンが行き渡れば状況がかなり改善されることは間違いなさそうだ。

 この1年半、私の印象に残ったことのひとつは、この事態に対する日本と欧米の反応の相違であった。都市のロックダウンや違反者への制裁なども含む強力な措置をとった欧米に対して、日本の「自粛要請」はかなり際立った対照を示していた。専門家の見解を聞き、世論に配慮し、経済界の意向を確かめ、国会で野党と論議をし、その上で「緊急事態宣言」を出す、というのが日本政府の対応である。しかもほぼ強制力を伴わない自粛の要請である。

さえき・けいし 1949年生まれ。京都大学名誉教授。保守の立場から様々な事象を論じる。著書に「死にかた論」など。思想誌「ひらく」の監修も務める。

 欧米の強力な措置からすれば、何とも中途半端で煮え切らない対応である。したがって、いくらでも政府批判はでてくる。一方では、政府はもっと強力な措置をとるべきだという批判がでる。他方では、政府は過剰な対応で経済を潰すのかという批判もでてくる。

国家の基本を「社会の安全確保」と考える欧米

 通常の場合には、政府の強権…

この記事は有料会員記事です。残り3647文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[記事一覧へ]