コロナ対策給付金を詐取容疑、経産省キャリア2人逮捕

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 コロナ禍で売り上げが減った中小企業の関係者を装い、国の「家賃支援給付金」を詐取したとして、警視庁は25日、経済産業省のキャリア官僚の男2人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。容疑を裏付けるため、同省を家宅捜索している。

 給付金は中小企業や個人事業主を支えるために同省が打ち出した施策で、迅速な給付を最優先したため審査が簡素化され、不正受給が相次いだ。警視庁は2人がこうした点を熟知していたとみている。

 逮捕されたのはいずれも同省職員の桜井真(28)=東京都千代田区=と新井雄太郎(28)=東京都文京区=の両容疑者。捜査関係者によると、2人は高校の同級生で、桜井容疑者が2018年入省、新井容疑者が20年入省だという。

 捜査2課によると、2人は共謀し、国が昨年7月~今年2月に申請を受け付けた「家賃支援給付金」をだまし取ろうと計画。昨年12月、コロナ禍で売り上げを大幅に減らした中小企業の関係者を装い、専用のホームページから給付申請をし、今年1月、国から約550万円を詐取した疑いがある。

 経産省は「当省の職員が家賃支援給付金の詐欺の疑いで逮捕されたことは、誠に遺憾。捜査に最大限協力し、全容の解明を踏まえて、厳正に対処したい」とのコメントを出した。

迅速な給付優先、相次ぐ不正

 家賃支援給付金は、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた中小事業者や個人事業主を支えるため、家賃や地代の支払いを支援する制度だ。

 対象は売り上げが大幅に減った中小企業や個人事業主で、経産省が昨年7月~今年2月に申請を受け付けた。昨年5~12月に1カ月の売り上げが前年の同じ月より50%以上減ったか、3カ月連続の売り上げが前年の同じ期間より30%以上減った場合、事務所の家賃を中小企業は最大600万円、個人事業主は最大300万円支援する仕組みだった。同省のウェブサイトによると、今年3月までに約104万件、総額約9千億円を給付したという。

 申請には、売り上げが減ったことを証明する書類のほか、賃貸借契約書や賃料の支払いの明細書の提出が必要だった。経産省によると、不正を防ぐため、給付金が振り込まれた後に大家に通知する仕組みも取り入れた。

 ただ、迅速さを優先したことで審査が簡素になり、不正受給による逮捕者は各地で出ている。警察庁によると、今月20日までに7都県警が11事件を摘発し、12人を逮捕・書類送検した。被害総額は約1505万円に上っている。

 同省はウェブサイトで、これまでに3法人と5個人事業主の不正を認定し、計約1083万円を返納させたとしている。