識者考える都議選の焦点 コロナ禍の不自由、格差、五輪

東京都議選2021

長野佑介 根岸拓朗
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 長引くコロナ禍と、開催まで1カ月を切った東京五輪パラリンピック。かつてない混沌(こんとん)を抱える中、告示された東京都議選をどうみるか。若者向けネットメディアを運営する古井康介さんと、社会学者で東大大学院教授の白波瀬佐和子さんに話を聞いた。

政治を若者に伝えるネットメディアを運営する古井康介さん

 大学生だった5年ほど前に10~20代の若い世代に政治情報をわかりやすく伝えようとネットメディア「POTETO」を立ち上げた。かつてないほど若い世代と政治の距離が近くなっていると感じる。その大きな要因は、生活を直撃している「コロナ禍」だ。

 ワクチン接種、飲食店への時短営業の要請と1年余りの短期間に、政府や自治体の一つひとつの決定に重みを感じた。周りの20代でも家族や会社の上司と政策に関わることが話題に上ることが増えたと言う人は多い。だからこそ、今回の都議選は重要だと思う。

 同僚と気軽に飲みにも行けない生活の不自由や制限をどう解消しようとしているのか。候補者の主張を精査して、生活と政治の距離にきちんと向き合う機会になる。今まで政治に関心の薄かった人たちが「当事者意識」を持てるチャンスだと思う。「密」を避けることが求められる選挙戦。候補者には「若い世代の公民館」ともいえるデジタル空間で思いをどんどん発信してほしい。私たちが政治をより身近に感じられるように。(長野佑介)

東大大学院の白波瀬佐和子教授

 コロナ禍で先が見通せない状況のなか、正確な情報を集めて決断し、説明できるリーダーシップがいかに重要かを私たちは思い知らされた。国政選挙に近い時期でもあり、この都議選は非常に大切だと思う。

 強調したいのは、コロナ禍で負担や被害が社会的に弱い立場の人に集中し、格差が広がっていることだ。テレワークに対応できる人は限られ、多くの対人サービスの仕事は減った。ジェンダーによる格差も露呈している。女性の自殺者が増え、家庭内暴力の相談件数も増えた。職業教育への投資を増やし、孤立した人に手をさしのべられるようにコミュニティー力の強化が急がれる。仕事と子育てに優しい環境を整え、結果として、全国最低の出生率から脱却できる土壌づくりも東京の大切な課題だ。

 「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」との発言があったが、男性ばかりの同質性が高い議会で議論をしても、自らを見直し振り返る機会が限られる。どれだけ都議会女性議員を増やせるか、注目したい。市民には意思決定の背景や根拠が見えにくい東京五輪について、候補者たちが都民の声をどう引き受けるかも問われる。(根岸拓朗)