自民は安全運転、公明は不安、野党は…それぞれの都議選

岡村夏樹、野平悠一、吉川真布
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 25日に告示された東京都議選は、前回選挙で主役となった小池百合子都知事が不在のまま選挙戦に突入した。秋までに行われる衆院選を見据え、政権与党は過半数を獲得したい構えで、野党には共闘の成否を占う選挙となる。

 自民党本部で25日朝に開かれた出陣式。党総裁の菅義偉首相はこう声を張り上げた。「候補者が厳しい戦い、苦しい戦いに直面する中で、最初から最後まで戦い抜いて、勝利を収めることができるように強力なサポートをお願いを申し上げます」

 前回2017年の都議選で自民は「都民ファ旋風」をもろに受け、過去最低の23議席という歴史的惨敗を喫した。当時自民党総裁だった安倍晋三前首相もこの日、自民候補者の応援演説で「総裁であった私にとって痛恨の極みであった」と振り返った。

 自民は前回都議選を「都民ファのバブルだった」(参院ベテラン)とみており、今回は「自公で過半数(64議席)」を目標に掲げる。

 しかし、この勝敗ラインの設定について、第2次安倍政権への期待もあって圧勝した13年の都議選では自公で計82議席を得ていただけに、「安全運転」に徹しようとする思惑が透ける。

 強気に出られないのは、新型コロナ対応への菅政権への批判が根強いことが大きい。首相が突き進む東京五輪パラリンピック開催の是非も争点の一つだ。都選出の国会議員は「五輪開催に反対している共産党の勢いがすごい」と危機感を募らせる。

 菅政権は4月の衆参3選挙で全敗し、千葉、静岡両県知事選など地方の大型選での敗北も目立つ。

 今回の都議選は、都民ファが前回獲得した議席を与野党で奪い合う構図で、議席増は党内で既定路線。目標の過半数を得たとしても、野党も議席を伸ばす可能性があり、衆院選に向け弾みがつくとは言えないとの見方がもっぱらだ。

 前回、都民ファと選挙協力した公明は、今回自民と協力するが苦戦が伝えられている。1993年以降、都議選では全員当選を貫いてきたが、今回の選挙はコロナ禍の状況で全国から応援を集めて支持者を掘り起こす得意の「人海戦術」が取りづらく、複数人が落選する可能性もあるとして危機感を募らせている。

 一方、都議選を衆院選に向けたステップにしたい立憲民主党は、連日幹部を投入する。

 枝野幸男代表は武蔵野市内の第一声で「みなさんの暮らしを守る。そういう政治を作るチャンスが今日から始まった」と訴えた。

 オリパラの「延期か中止」を公約に掲げ、「中止」を訴える共産党と1~2人区を中心に候補者調整を進めた。連合東京が共産との連携に不快感を示しているが、衆院選での野党共闘につなげる考えだ。

 日本維新の会国民民主党も衆院選での勢力拡大に向けた足がかりを築くことをめざす。(岡村夏樹、野平悠一、吉川真布)