ヴィトンは「国際大会」、ヨウジやドリスは…パリメンズ

ファッション

編集委員・後藤洋平
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 開催中のパリ・メンズコレクションは3日目となる現地時間24日で、期日の前半が終了した。ルイ・ヴィトン(LV)やドリス・ヴァン・ノッテンのほか日本のヨウジヤマモト、オム・プリッセ・イッセイミヤケなどの有力ブランドが動画で新作を発表。主催者の「ブロードキャスティングパートナー」である朝日新聞は、特設サイト(https://www.asahi.com/special/fashion/pfw2022ss/)で各ブランドの発表を同時配信している。

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 LVの新作にはスーツスタイルが数多く登場した。ただ、足元がスニーカーのモデルたちも目立つ。デザイナーのヴァージル・アブローは装いにストリートカルチャーを取り込むことでファッション界で成り上がった人物。テーラードスタイルにスニーカーを合わせることに強いこだわりを感じる。

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ルイ・ヴィトンの2022年春夏コレクション(ブランド提供)

 動画内の会場には漢字で「第七回国際発表大会」の文字が掲げられた。売り上げを大きく左右する中国市場への意識もあるかもしれないが、アブローは現代美術家村上隆、デザイナー兼DJのNIGO、藤原ヒロシら日本の著名アーティストたちと交友関係があり、多大な影響を受けてきたという経緯も関係しているのかもしれない。「第七回」とは、アブローがパリで発表するLVのメンズコレクションが、初めてとなった19年春夏シーズンから数えて今回で7度目という意味で間違いないだろう。

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ルイ・ヴィトン(ブランド提供)

 これまでロンドン・コレクションで新作発表を続けてきた英国の雄バーバリーが今回はパリ・メンズに参戦した。とはいえデザイナーのリカルド・ティッシは以前、ジバンシィのメンズデザイナーとしてパリでの発表を続けていたこともあり、ある意味での“凱旋(がいせん)”ともいえる。新作はブランドを代表するトレンチコートをノースリーブ仕様にしたアウターから、2人のモデルが肩車をしてボトムスとインナーウェアを見せるという奇抜な手法も。

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バーバリー(ブランド提供)
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バーバリー(ブランド提供)

 ドリス・ヴァン・ノッテンのテーマは「Greetings from Antwarp」。本拠地であるベルギーの都市アントワープの風景を組み合わせ、70年代にデザインされたアントワープの頭文字「A」の幾何学プリントをあしらった。

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ドリス・ヴァン・ノッテン(ブランド提供)
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ドリス・ヴァン・ノッテン②(ブランド提供)

 ユニクロとの協業でも知られるジョナサン・アンダーソンはデザイナーを務めるロエベの発表を26日に控えているが、それに先駆けて自身のブランドJ・W・アンダーソンの新作を公開。ファストファッションからビッグメゾンまで手がけるアンダーソンだが、彼の原点ともいえるブランド名でリリースする服が最も先鋭的だ。

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J・W・アンダーソン(ブランド提供)

 パリ・メンズに参加するのは大手ブランドだけではない。イスラエル出身のヘド・メイナーはコロナ禍以前は毎回小さな会場で招待者を限定する「身の丈に合った」ショーを続けてきた。手がける服は常にナチュラルなイメージでボリューム感にあふれており、動画での発表となった現在でも同じ方向性でクリエーションを続ける。

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ヘド・メイナー(ブランド提供)

 パリ・メンズの前半戦では日本勢も多数発表を終えた。日本の「御三家」の一角ヨウジヤマモトは黒を基調に白や赤の挿し色を効果的に使うお家芸ともいえる服づくり。

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ヨウジヤマモト(ブランド提供)
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ヨウジヤマモト(ブランド提供)

 変化を見せたのはオム・プリッセ・イッセイミヤケ。これまではプリーツ素材でゆったりしたシルエットの提案を続けてきたが、今回は着る人の体に沿う服を披露した。ファッション界に定着したビッグシルエットの流れに変化をもたらすかどうか注目したい。

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オム・プリッセ・イッセイミヤケ(ブランド提供)

 一方、コムデギャルソン出身のフミト・ガンリュウは大ぶりで柔らかな印象の服を発表。わき下から腕を出し、袖をアクセントにしたトップスなどを披露した。

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フミト・ガンリュウ(ブランド提供)

 東京都内でリアルショーを開催し、その模様の一部を収録してデジタルで発表したのはターク。映像では全編にわたってデザイナー森川拓野の「服作りってなんなのか」「変わらないものって何?」との一人語りとともに新作を紹介。

 1枚の生地がリネンからナイロンに徐々に変わるなど、変化をつけた素材を使用。取材に対して森川は「コロナ禍では素材開発やデザインに没頭した。売り上げも上がっているし、今振り返ると進路をキチンと定められた、いい期間になったのかもしれない」と語った。

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ターク(ブランド提供)

 前回から公式スケジュールで発表しているキディルも東京都内でリアルなプレゼンテーションを開催し、映像を作成。英国のグラフィックアーティスト、トレヴァー・ブラウンと協業し、パンクテイスト全開の服を並べた。プレゼンテーション後、デザイナーの末安弘明は「コロナ禍に直面した当初、作る服の型数を減らすなど後ろ向きになった。でも、それだとつまらないし、自分がデザイナーである意味を問い直した。それで、とにかく強烈にいきたかった。そして、来シーズンこそはパリで発表したい」と熱弁した。

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キディル(ブランド提供)

 パリ・メンズコレクションは現地時間の27日夜(日本時間28日未明)まで開催され、後半にもディオールやジル・サンダー、トム・ブラウン、ダンヒル、ポール・スミスなどの大手のほか、日本からもカラー、メゾンミハラヤスヒロ、ホワイトマウンテニアリング、ダブレットなど注目ブランドの発表が続く。(編集委員・後藤洋平