極端な「前傾」究めて頂点に 王者も驚く多田のスタート

有料会員記事

加藤秀彬
[PR]

 25日の日本選手権男子100メートル決勝で優勝した多田修平(住友電工)はひときわ変わった走り方をする。スタートから30メートルほど全く前を見ず、地面をのぞきこむように首を下げて走る。教科書通りとは言えない走法が、五輪代表を決めた多田の最大の武器のスタートダッシュを生んでいる。

無名の多田を知らしめた大会

 地面をはうように低く飛び出し、固い足首で反発をもらい、地面からの力を速さに変える。決勝でも見せた多田のスタートダッシュが注目を浴び始めたのは、関西学院大の3年生だった2017年のセイコーゴールデングランプリだ。

 その年の世界選手権の金メダリストで隣を走ったジャスティン・ガトリン(米国)を70メートル付近までリードし、観客をざわつかせた。無名だった多田の走りに驚いたガトリンはゴール後、笑顔で握手を求めた。

 大学4年からは苦しんだ。多田の低いスタートは爆発力がある一方、足を回転させすぎて体力を使い、太ももに負荷がかかるデメリットもあった。そのため、中盤以降に体がのけぞったり、力んだりし、失速するレースが目立った。

コーチはなぜフォームを大きく変えなかったのか。後半では、その理由を明かすとともに、どのように進化させてきたかをまとめました。

 スタートの姿勢を変えた方が良いのではないか。そんな声も周囲から出たこともあった。それでも、多田を指導している佐藤真太郎さん(大東文化大短距離ブロック監督)にそのつもりはなかった。

 実は多田が大学2年の時に、佐藤さんは「目線を前にして走ろうか」とアドバイスしたことがあったという。佐藤さんも姿勢を矯正した方が良いかもしれないと考えたこともあった。

実は細かい修正を繰り返す

 ところが、新しいフォームで…

この記事は有料会員記事です。残り869文字有料会員になると続きをお読みいただけます。