平仮名が書けなかった僕が慶応大に進むまで 理想の配慮

有料会員記事凸凹の輝く教育

川口敦子
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 自閉症スペクトラムや書字障害、聴覚過敏のある東京都の菊田有祐(ゆうすけ)さん(18)は今年、慶応大学湘南藤沢の環境情報学部に内部進学した。

 コロナ下で授業の多くはオンラインだが、映像研究のサークルに所属し、海外向けにアニメを配信するデータベースを構築するなど、学生生活を満喫している。

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大学の入学式で友人と記念写真を撮る菊田有祐さん(右から3番目)=本人提供

 「人生でやりたいことはたくさんある」。そう話せるようになるまで、道のりは険しかった。

 小学3年生になっても、平仮名でも名前がうまく書けなかった。学校で勉強する内容は理解できたが、算数の問題の答えがわかっても、マス目がないと筆算が書けない。

 25点のテストを持ち帰ると、家では鉛筆と消しゴムを手に、母親が待ち構えていた。何時間もかけて一緒に宿題をこなす。息が詰まった。

 小4のときだった。「彼は知的好奇心で生きている。自己肯定感を取り戻す必要がある」と医師に助言され、母親が「書かせる努力」をやめた。

 「アウェーだった家庭が、ホームになった気がした」。小5になると、自らの障害についてクラスで話して配慮を求め、小6で「タブレット端末を使わせて欲しい」と訴えた。

 「ずるをしている」。端末を使うことで、周りにそう言われないか恐れていた。そんなとき、担任の言葉に救われた。

 「菊田は正式な手はずを踏ん…

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