競技を始めてわずか5年 9秒台を抜き去ったデーデー

加藤秀彬
[PR]

 9秒台のスプリンター4人がそろった史上最高レベルの陸上日本選手権男子100メートル決勝(25日、大阪・ヤンマースタジアム長居)で、21歳の伏兵が2位に飛び込んだ。東海大4年生のデーデー・ブルーノ。今大会にエントリーしている選手の中で、自己ベストは11番目。「決勝に立つこと」が目標だった若手が、自身も驚く快走をみせた。

 25日の決勝。序盤は出遅れたが、「中盤から抜けてくるイメージがあった」。力みから失速する他選手を尻目に、後方からみるみる追いつき、9秒台の4人を一気に抜き去った。タイムは10秒19。緊張でタイムを落とす選手が多い中、決勝でただ一人の自己ベストを更新した。

 ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。陸上競技を始めたのは、長野・創造学園高校2年生のときだ。周囲に比べて遅いスタートだったが、始めてわずか1年、3年生の時の高校総体で5位に入賞し、すぐに頭角を現した。

 進学した東海大では、男子400メートル日本記録保持者の高野進さんや北京五輪男子400メートルリレー銀メダリスト塚原直貴さんらの指導を受ける。今季の春先は調子が上がらなかったが、体が上下して安定しなかった走りを修正。6月上旬の日本学生陸上競技個人選手権では優勝を果たした。

 東京オリンピックの参加標準記録(10秒05)を切っていないため、男子100メートルでの代表入りは厳しい。だが、競技歴がまだ浅い21歳には底知れない潜在能力が備わっている。デーデーは男子200メートルにもエントリーしている。加藤秀彬