ジェンダーでは飯は食えぬ? この国会を振り返って

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三輪さち子
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アナザーノート 三輪さち子記者

 政治部の三輪さち子です。国会と野党を担当しています。朝、娘を保育園に送り出し、電動アシストつきの自転車で国会近くの記者会館まで、約30分かけて通勤しています。基本的に夕方には退社。夜、同僚が重要な取材をしている頃、あるいは紙面作りが佳境を迎えている頃、私は子どもと風呂に入ったり、寝かしつけたりしています。葛藤や焦りはなかったのか? もちろんあります。

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 先日、都内の私立大学で講義をした時、自分ではよく覚えていないのですが、「子育て中の女性記者として政治部に居座っています」と口にしたようで、後から「女性が働き続けることはそんなに覚悟のいることなのか」と感想が届き、反省しました。

 そんな私が、今年の1月から半年間にわたって続いた通常国会と、今の政治を、どんな思いで取材してきたのか。ジェンダーの視点から振り返ってみたいと思います。

1人の女性の死

 この国会を振り返って、強く印象に残ったのは政府・与党が入管法改正案の成立を見送ったことでした。その判断に大きく影響したのは、1人のスリランカ人女性の死でした。

 今年3月、名古屋の入管施設で、当時33歳だったウィシュマ・サンダマリさんが亡くなりました。2017年に留学生として来日しましたが、翌18年に学費を払えなくなって退学。その後、在留期間の更新が不許可となり在留資格を失ったまま、滞在を続けていました。昨年8月に強制退去処分となり、収容されたのでした。死亡の経緯をまとめた中間報告には、入管庁にとって不都合な外部の医師の指摘が盛り込まれていないなど、不審な点が次々と指摘されました。

 理不尽で、あってはならない事案だと思う一方、1人の外国人の死をめぐり、議員に直接届く抗議や、SNS上の声がうねりとなり、政府与党を追い込むことになるとは、予想もしていませんでした。

 反対世論の高まりを受け、政府・与党が法案の見送りを決めた翌日の5月19日、難民問題の議員懇談会で、ある女子大学生がこんな発言をします。

 「日本が真に民主的な社会であってほしい」

 外国人にどう向き合うかは、日本社会を象徴する問題なのだと、彼女は議員や記者に訴えていました。

 東海地方の大学生や若者を中心に外国人労働者や難民への支援活動をする「START」という団体の千種朋恵さん。収容中のウィシュマさんと何度も面会し、支援していました。

 千種さんを含め、議員懇談会に出席した「START」のメンバーは4人。全員が女性でした。何があなたたちを突き動かすのでしょうか――。懇談会が終わった後、話を聞いてみました。

 名古屋の大学で国際関係学を…

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