五輪へ つなぐ思い 聖火リレースタート

永沼仁、岩城興、河合博司
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 東京五輪聖火リレーが26日、山梨県南部町のアルカディア南部総合公園をスタートした。コロナ禍で感染対策の徹底が呼びかけられるなか、初日は約80人が甲府市まで聖火をつないだ。27日は、約90人が富士吉田市のゴールをめざす。

 午前8時半すぎの出発式。南部町の小中学生たちの演奏や合唱でセレモニーは始まった。第一走者はシドニー五輪競泳代表の萩原智子さん(41)。「大好きな山梨で聖火を持つことができて誇りに思う」と語り、笑顔で走り出した。

 ただ、出走後の記者会見では、開催をめぐり賛否が分かれる状況について「葛藤はある」と打ち明けた。「選手も、国民も、医療関係者も、すべての方が無理をせず健康で終われる大会になってほしい」

 1区(南部町)の3番手は、町診療所の市川万邦(まほ)医師(51)。2010年に赴任し、「限界集落」への出張診療に取り組み、現在は新型コロナウイルスのワクチン接種も担う。

 認知症の人を応援しようと髪をオレンジ色に染めた。今の感染状況に複雑な思いもあるが、「治療の最前線にいる仲間、接種を準備する役場の人たちも含め、『共に頑張りましょう』とエールを送りたかった」と話した。

 4区(富士川町)では、佐野夢加さん(36)が登場した。ロンドン五輪の陸上女子4×100メートルリレーのアンカー。地元出身だけに知り合いも多く、「楽しんで走れました」。小学生に指導をしており「五輪にふれてもらい、夢や希望に向かって挑戦してほしい、という思いを伝えたかった」と振り返った。

 中学生ランナーの姿もあった。5区(市川三郷町)の小池彩華(いろは)さん(14)は、「スポーツ鬼ごっこ」が大好きな中学3年生。この種目を、多くの人に知ってほしいと応募した。「将来、五輪種目に採用してほしい。採用されたら、絶対に参加する」。五輪を遠い存在と考えている友人もいるが、「みんなでつくっていくものだと感じてもらえたら」。

 6区(中央市昭和町)を走った松本弘さん(84)は、マスターズ水泳への出場を重ねてきた。65~80歳で世界新記録を何度も塗り替えてきたという。1年前に肩を大けがした。得意のバタフライは難しくなったが、今も1日約2キロを泳ぎ、記録への情熱は衰えていない。「同じアスリートとして、五輪の出場選手に元気を与えたかった」と、力強い走りをみせた。

 このほか、9区(韮崎市)ではプロトレイルランナーの山本健一さん(41)、10区(甲府市)では、パーキンソン病と闘う医師の成宮賢行さん(57)らも出走。初日の最終ランナーとしてノーベル賞受賞者の大村智さん(85)が県庁噴水広場にゴールすると、大きな拍手がわき起こった。(永沼仁、岩城興、河合博司)