iZooの動物園予備校がハンター養成へ新学科

岡田和彦
【動画】伊豆で増えるシカ 白昼に出没=岡田和彦撮影
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 静岡県河津町の体感型動物園iZoo(イズー)の園長・白輪剛史さん(52)が学校長を務める動物園予備校アニマルキーパーズカレッジ(東伊豆町)が2022年度に「鳥獣狩猟ジビエ学科」を新設する。1年制で、狩猟免許を取得したハンター養成が目的。数が増えすぎ、森林などに深刻な被害が出ているシカ対策の担い手増が期待される。

 計画によると、関係法令、鳥獣や狩猟に関する知識、獲物の活用法などを学ぶ。8月にわな猟、2月に銃猟免許を取得できるカリキュラムを組む。講師には名人と呼ばれるプロの猟師や猟友会会員らを招き、伊豆の山々で実習をする。校内には食肉加工施設を備え、最近人気が高まっているジビエ(野生鳥獣肉)の加工技術も学ぶ。

 白輪さんは「免許の取得は必須だが、それだけでは猟はできない。名人たちの技を受け継ぐ場がどうしても必要だ」と実習を重視している。一方で、専業の猟師として生計を立てるのは難しく、兼業や副業として猟師になることを提案。「伊豆半島というフィールドで自然とのつき合い方を学んでほしい」と話す。

 県自然保護課によると21年春時点で伊豆地域のニホンジカの推定生息数は2万5300頭。農作物が被害を受け、森林の荒廃が進む。山では、シカが食べ尽くして植生が消失することで土壌が流出し、防災上も深刻な事態が起きている。

 安定的な生息を維持し、農林業被害や生態系への影響の軽減を図るには伊豆地域全体で5千頭の生息が適度とされており、目標とする頭数の5倍を超えるシカが生息していると推定される。

 記者は4月に異動で下田支局に着任した。直後、支局2階から外を見て驚いた。目の前の山の開けた斜面にシカがいる。しかも4頭も。直線距離で200メートルほど。肉眼でもはっきりと木の葉を食べている様子が見えた。

 シカは昼間は森の中で過ごし、暗くなってから行動することが多く、姿を見ることは珍しい。しかし、下田市の市街地から見えるその山では、それからも数日おきにシカが現れている。シカの圧力が森からあふれ出していることを感じさせられる。

 19年度に伊豆地域で捕獲したシカは1万2500頭だったが、増える数には追いつかず、生息数は減っていない。更に捕獲数を増やす必要があるが、担い手の猟師の高齢化が進んでおり、後継者の育成が課題になっている。伊豆市の食肉加工センター「イズシカ問屋」が農林水産省の「国産ジビエ認定」を取得し、提供するシカ肉が高い評価を受けている例はあるが、捕獲されたものの利用されず、山でそのまま埋められるシカも多い。

 白輪さんは「人と野生鳥獣が共生していくためのスペシャリストを育てたい」と意気込んでいる。(岡田和彦)