根本中堂、宙に浮く 進む大改修、床下の柱の根元切断

筒井次郎
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 【滋賀】10年がかりで進む天台宗の総本山・比叡山延暦寺大津市)の総本堂・根本中堂(こんぽんちゅうどう)(国宝)の大改修で、修理現場が報道関係者に公開された。床下では建物を支える76本の柱のうち、傷んだ2本の根元部分が切断された。「根継(ねつ)ぎ」という作業で、今夏に新しい木材を差し込む予定だ。

 根本中堂とその前方にある回廊(重要文化財)は現在、大きな工事用覆い屋「素屋根」の中にある。滋賀県文化財保護課の案内で24日、非公開の床下に入った。

 真っ暗な中に古い柱が並ぶ。太さ約70センチのケヤキ材。その一本に光を当てると、礎石に載る根元部分は切り取られた後で、間にジャッキや砂袋が挟まれていた。撮影用に挟んだものを外すと、礎石の上に約60センチの空間ができた。柱が「浮いている」状態になった。

 「柱の周辺をジャッキで最大6センチ浮かせ、腐食した部分のみを切断し、取り外しました」。担当の竹口泰生さんが説明した。3月に作業したという。

 根本中堂は、織田信長による焼き打ち(1571年)の後、徳川家光が再建し、1642年に完成した。その後の大きな修理は、今回を含めて計7回。当初のまま残る柱は1本だけで、75本は「根継ぎ」がなされた。「雲の中にいるよう」(竹口さん)という湿気の多い環境で、木材は傷みやすいという。

 今回根継ぎをする2本は、ともに前回の「昭和の大修理」(1951~55年)で根継ぎした部分だ。取り外された木材は、7キロ離れた建設会社の作業所に保管されていた。新しい木材を、この木材と同じ形に成形するためだ。

 寝た状態で置かれた木材は、長年の風雨に耐えて疲れ切ったようだ。樹齢は200年ほどになるという。

 素屋根の最上階(6楷)にも上がり、根本中堂の屋根を見学した。屋根を葺(ふ)いていた銅板はすべて取り外され、下地の木材があらわになっていた。今後、新しい銅板を葺き直す予定だ。

 根本中堂の修理は、昭和の大修理以来約60年ぶり。2016年に着工し、26年まで続く予定だ。素屋根内部には、一般参拝者も修理現場を見学できる「修学ステージ」(3階)が設けられている。回廊の屋根を見下ろせるほか、見上げると根本中堂の屋根の様子もわかる。(筒井次郎)