在日コリアンの歴史、来春に祈念館「幸せになる施設を」

小西良昭
[PR]

 戦時中の飛行場建設に朝鮮人労働者が動員された歴史からできた在日コリアンの街、京都府宇治市伊勢田町ウトロ地区に来年4月、「ウトロ平和祈念館」ができる。住民らは、地区の歴史を伝え、交流できる施設にしたいと期待する。

 26日、伊勢田町で住民や支援者らへの説明会があった。交流施設は鉄骨3階建て、延べ床面積450平方メートル。事業費は約2億円で、日韓と在日の市民らでつくる「一般財団法人ウトロ民間基金財団」が建設・運営する。

 かつて労働者が暮らしていた「飯場(はんば)」と呼ばれる宿舎は、建築から75年以上が経ち解体が始まった。解体後は、4分の1(約25平方メートル)を施設の前に移築する。家屋の外にあった井戸ポンプも再現。近くで焼き肉なども楽しめるようにするという。

 ウトロ地区の住民は現在、約50世帯、90人ほど。1989年に立ち退きを求められ、2000年に敗訴が確定したが、11年までに募金や韓国政府の支援で土地の一部を買い取った。そこに市営住宅(5階建て40戸)が完成。残る住民も23年春完成の2棟目(12戸)に入る。祈念館では、日韓に広がった支援の輪など地区の歴史を伝える狙いがある。

 住民を支えてきた「ウトロを守る会」の斎藤正樹さん(72)は「(飯場は)見たくない場であり、愛着ある生活の場でもある。二つの感情がコリアンに入り交じっていると、周りの日本人に伝われば」と願う。

 財団理事の金秀煥(キムスファン)さん(45)は「歴史を知って気持ちが重くなるのではなく、自分のルーツが自慢でき、幸せになる施設にしたい」と話す。財団はボランティアスタッフ、賛助会員らをホームページ(https://utoro.jp別ウインドウで開きます)で募集している。(小西良昭)

宇治・ウトロ地区の経緯

1940年 京都飛行場が起工(京都府宇治市と久御山町域)

 43年頃 宇治のウトロ地区に朝鮮人労働者の宿舎ができる

 45年 敗戦で飛行場建設が中止

 89年 地権者が土地明け渡しを求め提訴

2000年 最高裁で住民敗訴が確定

 11年 国内外の支援で、住民側が地区の土地の一部の買い取りを完了

 17年末  ウトロに宇治市営住宅1期棟(40戸)が完成

 22年春  ウトロ平和祈念館を整備予定

 23年春  市営住宅2期棟(12戸)が完成予定