初対戦ライオンズ相手にできたこと ラグビー日本代表

野村周平 菅沼遼
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 ラグビー日本代表が歴史的な一戦を経験した。

 26日に英・エディンバラで行われた全英アイルランド代表ライオンズとの初顔合わせ。2019年のワールドカップ(W杯)日本大会以来の国際試合は敗れたものの、日本代表にとっては得るものの多い試合となった。

 北半球のスター軍団相手に堂々と渡り合ったのは、海外で経験を積んできた中軸の2人。そして、日本の将来を背負う若手たちも輝きを放った。(野村周平 菅沼遼)

姫野のパワーと松島のスピード

 日本代表の「海外組」の2人、フランカー姫野和樹とWTB松島幸太朗が、北半球最強といわれるライオンズへの脅威となった。

 日本代表の唯一のトライは、姫野のパワーがもたらした。後半10分に交代で出場すると、同19分、ラインアウトからの流れで、ボールを受け取ってインゴールにねじ込んだ。

 2019年のワールドカップ(W杯)日本大会での活躍を機に今季、ニュージーランドのハイランダーズに移籍。南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」でもまれ、力強さが増した。

 この日のピッチでもボールの運び役として、押し合いの前線に入り、チームに推進力をもたらした。「今日の対戦にもしっかり臨めたところに、自身の成長を感じている」と、自信を深めた様子だった。

 パワーの姫野とは対照的に、20年から仏1部クレルモンでプレーする松島は、ステップとスピードで相手の守備をかき乱した。

 「今日は120%の力を出しきることができた」と振り返るとおり、ボールを持って走った距離は、両チームでトップを記録。この試合の最優秀選手に選ばれたライオンズのSOダン・ビガー(ウェールズ)に「みんなが見て明らかだったように(松島は)ダイナミックだった」と言わしめた。

 日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは試合後、「(2人は)インパクトを残してくれた」と言った。2人の海外組はFWとバックスのエースとして、次のW杯で上位進出を狙う新たな日本代表を引っ張っていく。(菅沼遼)

若手はつらつ「楽しめた」

 後半9分に4トライ目を奪われて0―28。この時点で日本の勝利の目はほぼなくなった。それでも試合が壊れなかったのは強敵相手に新戦力が台頭、日本が攻める姿勢を貫いたからだ。

 若手で爪痕を残したのは、後半10分に投入された23歳のSH斎藤直人と25歳のナンバー8テビタ・タタフ。テストマッチ(国・地域代表同士の国際試合)デビューの斎藤は高校生のようなダイビングパスを見せるはつらつさで試合のペースアップに貢献。タタフは北半球のスター選手たちをはじき飛ばす豪快な走りを見せた。

 素早いパスさばきで仲間たちを動かした斎藤は「チームが前に出てくれたので、テンポを上げて相手に重圧をかけることができた」。イングランド代表主将のSOファレルがベンチで待機する豪華布陣のライオンズ相手でも、「試合を楽しむことができた」と手応えをつかんだ様子だ。

 残り10分を切り、FW姫野和樹がゴールラインへ迫りながら、相手の好守でトライを阻まれるなど詰めの甘さは課題として残った。ただ、後半の相手反則数は日本の2倍の8。ライオンズが反則なしで日本を止められないほど、小気味のいい攻めで相手を振り回したことは誇っていい。

 スクラムやモールといった力比べは対等に渡り合えた。抱え上げるタックルに苦しんだ前半の課題も、ハーフタイムである程度修正できた。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「チャンスは作れた。自分たちのラグビーをしてくれた」と納得の表情。ワールドカップ日本大会以来20カ月ぶりのテストマッチで、意味ある一歩を踏み出した。(野村周平)