民主派寄りの香港ネットメディア 論評削除し経営陣退陣

香港=奥寺淳
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 香港で民主派寄りのニュースを配信してきたネットメディア「立場新聞」が27日夜、5月以前に掲載したブログや読者からの投稿などの評論を当面の間すべて削除すると発表した。経営陣6人が退陣することも明らかにした。中国に反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法国安法)での摘発を恐れ、自主的に文章の削除を始めた。ニュース配信は続けるという。

 同法で摘発された香港紙「リンゴ日報」が24日に廃刊となり、香港の親中メディアなどは立場新聞も「反中的だ」として同法違反になる可能性を報じていた。

 今後9カ月~1年の運営資金はあるとして、今回削除する文章については、筆者と掲載した場合のリスクなどを確認し、再掲載するかどうか判断するという。今回、削除の対象を論評としたのは、中国に批判的な内容が含まれる可能性が高いと判断したためとみられる。

 立場新聞は2014年に設立した非営利のニュースメディアで、英語名は「スタンドニュース」。広告や市民からの寄付などで得た資金で運営している。編集の独立を掲げ、民主、人権、自由、法治などの価値観を守ることを方針にしている。廃刊が決まったリンゴ日報が最後の編集作業をした23日夜、インターネットで編集局の様子を生中継するなど、民主派支持の立場を示していた。(香港=奥寺淳

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    吉岡桂子
    (朝日新聞編集委員=中国など国際関係)
    2021年6月28日12時14分 投稿

    【視点】立場新聞は、香港を知るために頼りにしていたメディアの一つです。関係者の安全と存続のために苦渋の判断だと思う。どうか無事に生き延びてほしい。中国・香港当局は、香港の市民社会から萎縮と忖度を最大限に引き出すために、「りんご日報」をみせしめに使い

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    倉田明子
    (東京外国語大学総合国際学研究院准教授)
    2021年6月28日9時48分 投稿

    【解説】立場新聞は、2019年の抗議活動で現場の様子をネット配信で中継し、注目を集めました。編集なしの生の情報が配信され続けたことで、抗議者と警察の間の圧倒的な力の不均衡や警察の横暴な振る舞いが明らかになりました。リンゴ日報と並んで、民主派の市民か