保存に一役 明治時代の茶舗2階は税理士事務所

堤恭太
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 さいたま市浦和区の中心街で旧中山道浦和宿の面影を残す青山茶舗。文化財のような日本茶店の建物2階に税理士事務所が同居することになった。一風変わった組み合わせだが、古民家活用プロジェクトを手がける会社も兼ねており、築120年の建物の保存に力強い仲間が加わった。

 茶舗の青山正博さん(60)によると、旧中山道沿いの岸町4丁目に1902(明治35)年に建てられた記録が残る。木造2階建て約120平方メートルで茶箱や茶缶、茶つぼが並び土間が広がる1階の店舗には昔の帳場の雰囲気が伝わる。店の裏には1891年の築という蔵を改築した日本茶喫茶・ギャラリー楽風(らふ)がある。

 今年2月、税理士堀哲郎事務所が2階に入居した。事務所へは裏から靴を脱いで上がり、店舗の隅を通り抜けて階段を上る。室内は昔のたたずまいを残し、暖色の照明が風情を醸し出す。堀哲郎さん(40)は税理士の資格を生かして古民家を生かした街づくりの資金調達や活用計画を手がける「らしく」社も経営する。「職場が、顧客に私の仕事への思いを語らせてくれる環境になった」。

 青山さんと堀さんが出会ったのは建築士らが集まる交流会。青山さんが入居者を、堀さんが新しい事務所を互いに探していることがわかり同居が実現した。

 青山茶舗のような一等地にある歴史的建造物を維持するのは難しい。敷地が約1600平方メートルもあり相続は大変だし、マンション建築を勧める話は数え切れないほど持ち込まれる。手放すという話が出たこともあった。それでも青山家は「残す」道を選び、初めて2階の貸し出しを決めた。

 実は青山さんは、建物からご先祖の「圧力」のような思いを感じる時があるとか。「維持管理の方法に怒っているのかな、と感じることがあるんです。でも堀さんを招き入れたことには何も感じなかった」と笑う。先祖も認めたらしい堀さんのサポートを受けて、さらに未来へ残す道を模索するそうだ。(堤恭太)