豪雨、なぜ7月上旬に 専門家「研究上の災害が現実に」

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竹野内崇宏
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 「数十年に1度の大雨」とされる大雨特別警報級の豪雨がここ数年、7月上旬に連続して起きている。さらに今後、この時期には「大雨がこれまで以上に増える」と警告する気象学の専門家もいる。なぜ、7月上旬には豪雨災害が起きやすいのだろうか。

 2020年7月3日、熊本県などでの大雨から始まった「令和2年7月豪雨」では、九州のほか中部地方や中国・四国でも被害が相次ぎ、80人以上が亡くなった。こうした豪雨災害が昨年まで7月上旬には4年連続で発生した。

 19年7月上旬には九州南部で大雨が続き、鹿児島県内で2人が亡くなった。18年7月の西日本豪雨では6日ごろから岡山や広島、愛媛各県を中心に大雨が続き、死者は全国で250人以上にのぼった。17年7月5日は福岡、大分両県で計約40人が犠牲になる九州北部豪雨が起きた。

 「数十年に1度」の雨を示す大雨特別警報が17、18、20年に出され、19年も可能性があった。4年とも、積乱雲が次々とできて帯状に連なり、大雨をもたらす「線状降水帯」が発生している。

 どうして、この時期に大雨が集中するのか。

 気象庁によると、大雨になりやすい理由が重なるためだ。大雨をもたらす積乱雲は、上空の大気が不安定なときに発達しやすい。梅雨前半の6月は中国南部で雨が活発に降り、このとき生まれる気流の影響で、日本上空は比較的大気が安定しやすい期間になる。

 ところが、7月に近づくと梅雨前線の北上で中国での大雨の地域も北上する。この結果、日本上空の大気も徐々に不安定になり、積乱雲が発達して大雨になりやすくなる。

 また、大雨の直接の原因になるのは、東シナ海などから地表付近に流れ込む、多量の水蒸気だ。

 水蒸気が流れ込みやすい地域は、6月には日本の南方にあたるが、梅雨前線とともに徐々に北上する。7月上旬にかけて九州の南沖合周辺まで水蒸気が集中する地域が北上してくる。

 こうして、7月上旬には特に西日本を中心に、大雨になりやすい気象条件が重なる傾向がある。

 実際に7月上旬に大雨が多いというデータもある。

 13年に運用が始まった大雨特別警報は、これまで各年の7~10月に計17回出されているが、約10日ごとの「旬」という区分でみると、7月上旬が8回で最も多くなっている。

 また、熊本地方気象台は1951~2010年の60年間の雨量を約5日ごとに区切る「半旬」という区分で分析している。1日に100ミリ以上の大雨が降った日数でみると、熊本市では7月1~5日の半旬に計19日間あった。3年に1度は、この5日間のうちに大雨に見舞われる計算になる。

 気象台は「大雨の予測をしたものではない」としつつも、熊本県民向けの防災資料の中で特に7月はじめ頃に大雨が多いとして、注意を呼びかけてきたという。

専門家「研究通りの災害が現実に…」

 気候変動地球温暖化)によって、7月上旬の大雨がさらに増加すると予測する研究もある。

 京都大学の中北英一教授(水…

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