「地域との共生」が高校野球の鍵に 愛知の高野連理事長

この連載は仲川明里が担当しました
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 高校野球が存続していくためには何が必要なのか。愛知県高校野球連盟の神田清理事長(65)に聞いた。

 ――現状の受け止めと取り組みを教えてください

 今年の愛知大会には全国最多の179チームが出場するが、高校野球人口の減少は人ごとではない。

 愛知県高野連では2016年から中学生を対象とした野球教室を年に一度開催している。軟式球に親しむ中学生が少しでも早く硬式に触れることで高校でも野球を続けてもらいたい。これまでは県大会で16強以上の中学3年生が中心に参加していたが、裾野を広げるためにも今後は各地区で開催したい。小学生に教えることも考えている。

 ――コロナ禍で部活を辞める高校生も増えていると聞くが

 部活を辞めるというよりは、中学で野球をしていたが高校では初めから野球部に入らない子がいるという声は現場の先生たちからよく耳にする。今の高校1年生はコロナの影響で、昨年は中学生活最後の部活動ができずに不完全燃焼で終わった子も多い。そうした状況でモチベーションを保つことが難しく、最後まで仲間とやり遂げたという成功体験が少ないことも影響しているのかも知れない。

 ――高校野球の存続には何が必要か

 地域との共生だ。学校内だけでなく地域に応援される部活動になる必要がある。印象に残っているのが、20年の選抜大会の21世紀枠に推薦された東浦高校での表彰式。部員不足で活動が制限される中、老人ホームでのボランティア活動や駅周辺の清掃などを通じて地域に貢献していた。

 そうした姿を町の人も見ていたのだろう。学校関係者だけでなく、町民や役場の方々までが表彰式に訪れたことに驚いた。地域に応援される野球部、部活内で人間的な指導ができているだろうと感じた。

 地元の子どもたちがそんな姿を見て「将来自分も東浦で野球をしたい」と思い、野球部員も地元の人に応援してもらえるように頑張る。互いに相乗効果が生まれ、将来的には高校野球の存続につながるのではないかと考えている。

 ――高校野球はどうあるべきか

 高校野球ファンが求めるのは今も昔もはつらつとしたプレーや全力疾走など選手のひたむきな姿というのは変わらない。子どもたちにとって、一番大事なことは勝ち負けではなく、最後まで仲間とやりきったという達成感を味わうこと。「勝利至上主義」ではない教育の原点にもう一度立ち返る必要がある。(この連載は仲川明里が担当しました)