好調のF1撤退、惜しくないですか?ホンダ幹部の答えは

岸善樹
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 モータースポーツの最高峰フォーミュラワン(F1)で、今シーズンを最後に完全撤退するホンダが絶好調だ。たとえ「脱炭素」が時代の流れであっても、ホンダの象徴であるF1を捨てるのは、ビジネスとして惜しくないのか。そんな疑問を幹部にぶつけると、ホンダの挑戦は「必ずしもクルマである必要はない」との答えが返ってきた。

 7月4日、オーストリアのシュピールベルクで行われたオーストリア・グランプリ(GP)決勝。レッドブル・ホンダは、ぶっちぎりの優勝を果たした。ポールポジションでスタートして優勝する「ポール・トゥ・ウィン」は3戦連続だ。

 ホンダ勢の5連勝は、1988年に11連勝を果たして以来33年ぶりとなった。

 ホンダが、F1からの完全撤退を表明したのは、2020年10月だった。ねらいは、社を挙げての「脱炭素」の推進だ。年に数百億円とされるF1のための資金や人材を、電気自動車(EV)など次世代技術の開発に振り向ける。これまでF1撤退と再参戦を繰り返してきたが、八郷隆弘社長(当時)は「(再参戦は)考えていない」と断言した。文字通りの完全撤退だ。

 ホンダは、創業者の本田宗一郎以来、「エンジン屋の会社」のイメージが強い。しかし、「脱炭素」に向けて、世界で売る自動車のすべてを40年までにEVなどにして、ハイブリッド車も見切りをつけると宣言した。ガソリンエンジンを捨てる、というのだ。

 米国市場の苦戦もあり、ホンダの四輪事業は低迷が続いている。EV開発などに必要な資金をまかなうには、四輪の「稼ぐ力」の改善が急務のはずだ。

 ホンダの象徴でもあるF1とガソリンエンジン。両方に見切りをつけるよりは、使い倒すという選択肢もあるのではないか。しかし、モータースポーツ担当の渡辺康治・執行職は「モビリティー・移動にかかわりさえすれば、必ずしもクルマである必要はないかもしれない。我々は『本田技研工業』であり『ホンダ自動車』ではない」と語る。(岸善樹)