性的暴行「若気の至り」なの?許される男性、絶妙に風刺

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板垣麻衣子
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 歌手のビリー・アイリッシュが、アジア人に対する侮蔑語を口にした過去の動画が拡散したことを受け、自身のインスタグラムで謝罪した。

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ビリー・アイリッシュのインスタグラムから

 ボディー・ポジティブなバギースタイルのファッションで、メンタルヘルスについても包み隠さず話すZ世代のアイコン。そんな彼女がまさかのレイシスト? というセンセーションを呼んだが、問題の動画は、アイリッシュがラップの歌詞の一部を口ずさんでいるもの。その歌詞の中に、問題の言葉が含まれていたのだ。

 アジア系なまりをちゃかしているような姿も映っているが、13、14歳の頃の映像で、当時はふざけて(goofing around)こういう話し方をすることがあったとした上で、「無知や当時の年齢は、人を傷つけてしまった事実の言い訳にならない」とつづっている。

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ビリー・アイリッシュがインスタグラムのストーリーで発表した謝罪

 トランプ政権への反動で、ジェンダー平等やアンチレイシズムの声が高まったアメリカ。ここ数年、著名人の昔の写真や映像が掘り返され、炎上する現象が頻発している。

 過剰な取り締まりは、バックラッシュも呼んでいる。FOXニュースなどの保守メディアは、差別発言の主体に降板や不買を求める「キャンセル・カルチャー」は嘆かわしい言論封殺だとして、リベラル批判のマジックワードとして振り回す。

 キャンセル・カルチャーの背景には、若い世代の司法制度への不信(要するに「悪い人が法で裁かれないので声を上げるしかない」)があるが、問題発言や行為をした人が「なぜそれが問題なのか」を学び成長する機会を一切与えなくなってしまう土壌は、SNSを使ったデジタル・アクティビズムの負の側面だとも言える。

 めまぐるしく情報が飛び交う時代、映像制作はどう変わっているのか。

 私が見たところ、制作側にPC(政治的正しさ)のコード(文脈)を読む力が昔以上に求められているのは確かだが、「社会正義に除菌されてつまらなくなった」ということはなく、むしろ社会をメタに批評してみせるサタイア(風刺)のセンスが研ぎ澄まされてきたと感じる。

ネットフリックスに、2010年代のドラマ史を代表する名作と評価されるアニメがあります。主人公は素行の悪い中年男性。#MeToo以後の世界で、彼はどう描かれるのか。社会正義との向き合い方を探りました。

 とりわけ連続ドラマは、シー…

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