ワクチン接種で相次ぐ割引・特典…焼き肉3千円引きも

根本晃
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 苦境が続く飲食店やホテルが、新型コロナウイルスワクチンの接種を終えた人に割引や特典を与えるサービスが広がっている。専門家は「接種を促すインセンティブ(動機)になる」と評価する一方で、引き続き感染対策の徹底も促す。

 名古屋市中村区の会員制個室焼き肉店「三代目 脇彦商店」は1回目のワクチン接種を終えた人に1千円、2回目の人には3千円をコース料金から割り引くキャンペーンを実施。6月7日からはじめ、医療従事者や高齢者ら約20組の利用があったという。

 足元の売り上げはコロナ禍前と比べて7~8割減った。いまも時短営業中だ。担当者は「飲食業界は壊滅的な打撃を受けた。ワクチンが広がってコロナ禍が収束に近づけば」と話す。

 居酒屋大手のワタミも「ミライザカ」「鳥メロ」などの店舗で、接種を2回終えた人にドリンク1杯を無料提供。「白木屋」「魚民」などを運営するモンテローザも2回接種者の最初のドリンクを1杯1円にしている。両社とも、接種してから一定期間を置いての利用を推奨している。

 同様の取り組みは宿泊業界にも広がる。愛知や三重など5県で旅館を展開する「海栄(かいえい)RYOKANS」(愛知県南知多町)は、2回の接種を終えた人を対象に、「部屋」か「料理」をグレードアップできる特典がついたプランを実施。6月3日の開始以降、数十組の利用があったという。

 ワクチン接種が進めば、こうしたサービスはさらに広がりそうだ。厚生労働省予防接種・ワクチン分科会の委員を務める川崎市健康福祉局の坂元昇(のぼる)医務監は、こうしたサービスを「接種を促すインセンティブになり、悪いことではない」と評価。一方、「ワクチンを2回接種した後でも、感染し症状が出ないまま、知らずに第三者に感染させてしまう可能性は完全には排除できない」と指摘する。

 「接種が進み、重症者や感染者が大幅に減少するなどの明らかな傾向が認められるまでは、警戒をゆるめるべきではない」とも話し、会話や外出の際のマスク着用など、感染対策を徹底するよう呼びかけている。(根本晃)