「子どもにワクチン」不安な人へ 小児科医ママの思い

森戸やすみ
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 新型コロナウイルスワクチンの接種券が、65歳以上の高齢者だけでなく若い年代にも配られるようになって来ましたね。

 接種券は、住民票をもとに市区町村が送付しています。接種券が届く前に「職場で受けることになりました」という方もいらっしゃいますが、市区町村から送られてくる接種券を、あとで会社に提出するように言われているかと思います。私も医療者枠で受けましたが、先日、住んでいる地域から接種券が送られてきました。

 私の小児科クリニックでも、お子さんの受診に来たついでに「子どもも新型コロナワクチンをうった方がいいんですか?」と尋ねる人が増えました。

 もちろん受けた方がいいというのが私の考えです。高齢者の多くが受けると死亡率が減り、若者が受けると感染者数が減るんですから。

 先日は駅の改札付近で、「新型コロナワクチンは重症化は防ぐけど、発症は防げないからね」と話している二人組がいてびっくりしました。新型コロナウイルスに対して、米ファイザー・独ビオンテック製や米モデルナ製のmRNAワクチンは95%前後発症を防ぎます。

ワクチン、新しいから不安?

 まず、新しいワクチンだからうった人が将来的にどうなるかわからないという不安を持つ人が多いですね。mRNAワクチンという聞き覚えのないものなので、ヒトのDNAが書き換えられてしまうとか、不妊症になるというデマを聞くと心配になるでしょう。

 ネットでは多くの医師が正しい説明をしていますし、厚生労働省もSNSを使って安心材料を提供してくれています。

 複数の医師が運営する「こびナビ」のワクチンQ&A(https://covnavi.jp/category/faq_public/別ウインドウで開きます)は、ワクチンの仕組みやどうしてこんなに素早く作ることができたのか、などなどやさしく教えてくれています。要するに途中までは研究・開発がすでにできていた技術を使ったから早くできました。

 厚生労働省のQ&A(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html別ウインドウで開きます)もわかりやすく詳しいです。海外ではすでに何万人もの妊婦さんがこのワクチンを受けています。妊娠中、授乳中の女性でも、このワクチンを受けて問題は起きていないし、妊娠を計画する際にも不妊症になったりはしていません。

ワクチン、若い人も対象になった理由は?

 次に、なんで今までファイザー・ビオンテック製のものは16歳以上、モデルナ製のものは18歳以上にしか使わないようにいわれていたのに、ファイザー・ビオンテック製は12~15歳の子どもも使えるようになったのでしょう?

 それは、その年齢以下の人にも治験が行われたからです。医薬品の安全性と効果は、治験という方法で確かめられます。どういう人にどう投与して、どういう効果があり、どういう問題が出たかを正確に調べるためには性別や年齢を決めて調べるんですね。

 まず成人で治験が行われ、次に若い年齢で効果と安全性が確かめられたのです。これからもっと接種対象者が広がるでしょう。

 ▼米ファイザー、6カ月~11歳の子どもへの研究が進行中(https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-receive-first-authorization-european別ウインドウで開きます

 ▼米モデルナ、12~17歳への有効性を確認(https://investors.modernatx.com/news-releases/news-release-details/moderna-announces-teencove-study-its-covid-19-vaccine)

ファイザー製じゃないと嫌?

 私のクリニックに「そちらで使っているのはファイザーのワクチンですか?」という問い合わせが数件ありました。日本ではファイザー・ビオンテック製のものとモデルナ製のものが使われていますが、まるでモデルナのものだったら受けたくないという言い方だったと電話を受けた事務さんがいっていました。

 実際には効果も副反応もほとんど変わりありません(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0013.html別ウインドウで開きます)。日本では、この二つのmRNAワクチンは1回目と2回目で同じものでないといけません。

不安な気持ち、相談を

 ただ、接種後の痛みや発熱といった副反応は、若い人ほど出やすいといわれています。お子さんの接種は、かかりつけ医(個別接種)で受けることをおすすめします。心配なことがあって、受けたくないと思う人は、信頼できるかかりつけ医に相談してみてください。

 また、副反応と効果の因果関係はありませんから、「副反応が出なかったからワクチンの効果がないかもしれない」という心配はいりません。

まずは大人のワクチン接種、予約のポイント

 家に接種券が届いたら、現在四つの方法で新型コロナウイルスワクチンを受けられます。どれも無料で、外国籍の人も対象です。

 個別接種という自分で選んだ診療所・病院で予約する方法、集団接種という市区町村が主体となってコールセンターやオンラインで予約し公民館などで受ける方法、東京や大阪の自衛隊大規模接種センター、会社や大学などで行う職域接種があります。どこで受けるのも自由です。

 現在の方法では、接種券がなくても接種できたり、複数の接種券が手に入るケースがあるため、その気になれば3回以上、受けられます。ですが、mRNAワクチンは2回で95%程度の効果があり、1人が何回も受けるより数多くの人が受けた方がいいのでそういうことをしてはダメです。

ワクチン接種の実際は? あっという間に終了

 最後に、実際の接種の様子をご紹介します。

 私のクリニックでは個別接種を行っていて、所属する医師会の集団接種にも協力しています。

 個別接種は、接種券が送られてから希望者の方ご自身がクリニックに電話で予約してもらいます。医療機関によってはネットでしか予約できないところもあります。ご自宅や職場近くで個別接種をしていると便利ですね。各医療機関のホームページを見るか、市区町村の新型コロナウイルスワクチンのページに受けられる医療機関の一覧表が載っているので見てください。

 当日は、接種券と同封されている予診票を記入した上で持っていきましょう。それ以外に本人確認ができるものが必要です。健康保険証や運転免許証などがいいですね。日常的に飲んでいる薬があったらそれを予診票に記入しますが、お薬手帳を持ってきてくれる方もいます。それらを提出して検温し、私が問診をして、看護師が接種します。

 「俺、こういうの初めてだから緊張する」という方がいましたが、「みんな新型コロナワクチンは初めてですよ?」と答えたところ、インフルエンザワクチンも含め覚えている限り注射をしたことがなかったんだそうです。

 そういう方もニコニコして終えられました。実際の注射はあまり痛くないのです。受ける前から気分が悪くなる人がたまにいるのですが、「え? もう済んだんですか?」というくらいあっという間に注射は終わります。

 その後、待合室で15分間様子を見てからお帰りいただきます。アレルギー歴があって心配な人や緊張と恐れから気分が悪くなった人は30分くらい様子を見ます。のどの違和感があったり、皮膚がかゆくなったり、気持ちが悪くなったりしたら遠慮なく申し出てください。激しいアレルギー反応ほど早く出ますから、初めの15分が大事なんですね。

ワクチンの後、お風呂はOK?

 集団接種は、市区町村がコールセンターや専用サイトを作って予約を受け付けています。複数の接種会場のうち、都合がいい場所と日時を選びましょう。当日の持ち物は同じく、接種券、記入してある予診票、本人確認ができる書類、お薬手帳です。

 自治体の人、医師会が手配した医師と看護師、事務作業や案内をしてくれる職員がたくさんいます。私のいとこはボランティアで案内をしています。一度に大勢の接種ができるような工夫がされていて、受付、医師による問診、看護師による接種、15分間待機する場所が広く、救護場所も設けられています。

 先日は午後7時からの接種会場に行ったためなのか、「この後にお酒を飲んでいいですか?」と「お風呂に入っていいですか?」という人が同じくらいの数たくさんいらっしゃいました。いつもどおりの生活をして大丈夫です。ワクチンを受けた達成感から酩酊(めいてい)するほど飲んでしまったり、いつもより長湯をして気分が悪くなったりしてはダメですよ。

 また、2回目のワクチンを受けて1~2週間は十分に効果が出ませんから、今まで通りに密を避けないとダメです。

 早く新型コロナウイルスの流行が収束しますように。(森戸やすみ)

森戸やすみ
森戸やすみ(もりと・やすみ)小児科医
小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はどうかん山こどもクリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。