「限りなく近く、しかし同化せず」大久保編集委員が講演

池上桃子
[PR]

 今年度の日本記者クラブ賞を受賞した朝日新聞の大久保真紀編集委員(57)が29日、日本記者クラブ(東京都千代田区)で講演した。「限りなく近く、しかし同化せず」と題して、取材相手との距離感や自身の取材姿勢などについて話した。

 受賞に際して、大久保編集委員は中国残留邦人性暴力被害者などの取材に取り組み、「過酷な状況に置かれている当事者と信頼関係を築き、その肉声を伝えてきた」と評価された。

 この日の講演では、売春宿から救出されたミャンマーの少女を取材した際、涙を流しながら「多くの人に私の経験を知らせてほしい」と言われたことに触れ、「伝えることを託されたと感じた」と話した。記事を読んだ大学生が、子どもたちを支援する団体を立ち上げたことも紹介した。

 虐待を受けた子どもたちの取材では、恋人からも暴力を受けた少女を自宅で預かってもらえないか頼まれたことがあると明かし、「当事者や支援者になっては記事は書けない」と対応し、他の支援団体を紹介した経験を語った。「当事者や支援者にはなれない、取材者の難しさを感じた」と述べた。その少女が様々な仕事を経験し、百貨店で職を得たことも紹介し、「子どもには力があるということを彼女から教えてもらった」と話した。

 「多くの人に出会って私がいる。感謝して、これからも精進したい」と締めくくった。(池上桃子)