原発の処理水放出、福島で政府WG 東電対応に批判続出

古庄暢、関根慎一
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 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出方針を受け、風評対策などを検討する政府のワーキンググループ(WG)の会合が29日、福島市であった。県内では2度目で、参加した4団体からは海洋放出反対や風評対策、東電による賠償への注文が相次いだ。

 会議に参加したのは県森林組合連合会、県商工会連合会、いわき市で、県旅館ホテル生活衛生同業組合は書面で意見を述べた。

 県森林組合連合会の田子英司会長は「県内の間伐事業はいまだ震災前の5割程度だ。原木シイタケの生産や山菜の出荷も規制が続いている」と現状を説明。処理水の放出について「(多くの組合員に)あらたな放射性物質の放出と受け止められ、経営意欲の低下を招きかねない。放出には反対だ」と明言した。

 いわき市の新妻英正副市長も放出方針について「国は理解を得られたとは言い難い状況で決定した」と批判。今後の風評対策についても「これまでの対策を拡充するだけでは不十分だ。取るべき対策を早急に示してほしい」と求めた。

 県旅館ホテル生活衛生同業組合の小井戸英典理事長は書面で「実際に(観光客に)足を運んで、来て、見て、味わって、心を触れ合わせていただくことが、風評払拭(ふっしょく)には最も効果的だ」と訴えた。

 風評被害が起きた際の損害賠償についても、厳しい意見が目立った。

 県商工会連合会の轡田(くつわだ)倉治会長は、会員事業者が申請した損害賠償1千件のうち、東電が賠償に応じたのは33件だったと説明。「申請業務を引き受けている連合会の職員の作業が無駄になっている。国が前面に出て東電を指導し、賠償の基準をしっかりつくってほしい」と要求した。

 いわき市の新妻副市長も「市でも申請の4割ほどしか支払われていない」と批判。「具体的な賠償の仕組みについて、適切に見直しをすべきだ」と求めた。

 東電は住民への損害賠償について、国の原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)が示す和解仲介案を尊重するとしながら、集団申し立てでは和解案を相次いで拒否し、地元自治体や住民は不信感を募らせている。東電は海洋放出に伴う賠償に関して、これまでの賠償とは別に、賠償期間や地域、業種を限定しない新たな枠組みを夏ごろまでに示すと表明している。

 こうした指摘に対し、WG座長の江島潔・経済産業副大臣は省内の専門チームが「東電に指導していく」と発言。江島氏は会合後、記者団に「東電の対応の悪さが今日の不信感につながっている。反省してもらわないといけない。被害者に立証負担がかからないようにと指示している」と述べた。(古庄暢、関根慎一)