家並ぶ都心をガラッと変えた「怖いビル」惜しまれ解体へ

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北沢拓也
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建て替え工事のため閉鎖される世界貿易センタービルディング(中央)=2021年6月26日午後2時47分、東京都港区、朝日新聞社ヘリから、井手さゆり撮影
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 東京・浜松町のランドマーク「世界貿易センタービルディング」が30日で閉館し、解体工事に入る。高さ152メートルのビルは、1970年の完成当時「日本一」を誇った。その名の通り、「貿易振興の重要拠点に」という、日本経済界の期待を背負って生まれた。それから半世紀余り。ビルの役割も街の風景も変わったが、ビルをみつめる人たちの愛着はそのままだ。ビルは2027年、新たに生まれ変わる。(北沢拓也)

 閉館を控えた29日、ビルの近くにある港区立御成門小学校の3~5年生が、ビル40階の展望台「シーサイド・トップ」に招かれた。展望台は解体工事を前に、1月末に先行して閉鎖しているが、この日は「地域の子どもたちに、まちの景色をみてほしい」と、ビルの運営会社が特別に招待した。

 東京湾羽田空港東京タワー……。東京の眺望を360度楽しめる展望台は、長年人気のスポットだった。

 「学校が見える!」

 「スカイツリーはどこ?」

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閉館する世界貿易センタービルの展望台で街並みを見る子どもたち=2021年6月29日午前、東京都港区、川村直子撮影

 子どもたちは窓に顔をくっつけて、歓声をあげながらうれしそうに外の景色に見入っていた。4年の曲谷穂花(ほのか)さん(10)は「晴れた時は海がきれいで、有名な場所もたくさん見える。歴史ある建物なのに」と残念そう。大峰美玲さん(9)や金杉碧海(あお)くん(9)も「こんなに景色が見えるのに、壊しちゃうのはもったいない」と惜しんでいた。

街のシンボルとして愛されたビルの解体に、惜しむ声が聞かれます。設立は高度経済成長期のまっただ中でしたが、その存在意義は徐々に薄れていきました。建て替えによって、浜松町に新たな風を吹き込もうとしています。

 ビルに程近い芝神明商店街。ここで生まれ育った布団店の岡崎博子さん(57)にとって、ビルのある風景は日常だった。ビルの約1キロ西側には東京タワー。「貿易センタービルと、東京タワーが見えれば迷子にならない。どっちも見えているだけで安心できる。そんな場所です」。神戸にある母親の実家から東京に戻る時、新幹線の車窓にビルが見えると「帰ってきたな」と、ほっとした。

 低層階のレストラン街には家…

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