レスリングの試合着「つりパン」恥ずかしい? 選手の提起に賛同続々

レスリング

金子智彦
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 コロナ禍に入った昨春、ネット上でにわかに盛り上がった議論がある。レスリングのシングレット、ダサくない? 賛同の声が相次いだ背景には、競技人口の減少を危惧する切実な声があるようで……。

 「前から思ってたけどレスリングはシングレット廃止してラッシュガードとショーツ(短パン)にすれば人気あがるはず」

 きっかけは、シドニー五輪代表で総合格闘家の宮田和幸のツイートだった。

 シングレットとは上下一体型のつなぎ状の試合着のことで、俗に「つりパン」と呼ばれる。今でこそ男子も胸まで覆うハイカット型だが、一昔前まで、胸部が見えるローカット型だった。

 宮田のツイッターは、このつりパンが競技人気の壁になっていて、カジュアルで、ファッション性の幅も広がる上下別のユニホームにしては、という問題提起だ。

 アスリートを性的目的で盗撮し、SNSなどで投稿、拡散する行為が社会問題化しており、ツイッター上では、賛成の意見が多く見られた。

 東京五輪代表の高谷惣亮ツイッター上で、「そもそも昔からシングレットには違和感しか感じてない」とし、「レスリングの魅力の一つは『肉体美』にあると思っている。今のままでもいいだろって意見もあるけど今のままで人気ないじゃんていう。いろいろ変えるのは僕は好き」。同じく東京五輪代表の文田健一郎も「別にシングレットが『嫌い』なわけじゃないけど、改善したらファンも増えるんじゃないかと思う。個人的にはめっちゃ賛成です」と書き込んだ。

 シングレットには、体の線が強調される面がある。特に、中・高校生年代の女子選手にとっては、恥ずかしさが勝る場合もあるようだ。リオデジャネイロ五輪金の登坂絵莉は、「シングレットが嫌と言って中学でやめた女子選手もいました。全国で何度も優勝していた選手の辞めるきっかけにすらなってしまうシングレット」と宮田のツイートに呼応した。

 だが、試合着を変えることは簡単ではない。

 リオ五輪代表の井上智裕は、短パンだと相手につかまれ、勝敗に影響する可能性を指摘する。「シングレットはつかみづらいし反則になるからつかむ選手はほぼいない! しかし短パンだと審判に見えないところでつかまれる可能性があるのではないか?」

 また、タックルの応酬など激しい動きの中で、試合着がずれてしまわないかという不安は拭えない。

 国際オリンピック委員会(IOC)は五輪競技について、若年層の人気や将来性を重視する。13年には五輪競技からの除外候補になったレスリング。15年には世界連合(UWW)のネナド・ラロビッチ会長が「選手もファンも誇らしく感じ、アピールできるようなユニホームに変えていきたい」とコメントしたこともあるが、大きな変化は起きず今に至る。

 東京五輪の熱が冷めやらぬうちに変化の波が起きて欲しい。そう願うレスリング関係者は多いのかもしれない。(金子智彦)