近代化の「生き証人」がラストラン 大牟田の炭鉱電車

外尾誠
【動画】「炭鉱列車」ラストラン見学会=外尾誠、吉本美奈子撮影
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 福岡県大牟田市を中心に三井三池炭鉱の石炭運搬などに活躍し、昨年5月に廃止された「炭鉱電車」のラストラン見学会が31日、市内の専用駅周辺であった。参加した計80人の家族連れや鉄道ファンらが、日本の近代化を支えた「歴史の証人」の雄姿を心に刻んだ。

 炭鉱電車は石炭を運んだ馬車鉄道がルーツで、1891(明治24)年に蒸気、1909(同42)年に電気機関車が導入され、最盛期の総延長は約150キロ。97年の炭鉱閉山後は、三井化学大牟田工場が原料運搬の専用鉄道として市内の1・8キロで昨年まで運行していた。今夏から2年がかりで関連施設を撤去予定。

 見学会は「最後の雄姿を見たい」というファンの声を受けて同工場が企画。保有する5両を線路上に並べ、特徴の説明や内部の見学、走行する姿の撮影会などがあった。新型コロナ対策のために、参加者は約450人の応募者から抽選で80人にしぼられた。その1人で同県久留米市の公務員吉川寿弘さん(52)は「18歳まで過ごした大牟田の象徴。無くなるのは寂しいけど、最後に姿が見られて良かった」。この日の説明役を担ったNPO法人「炭鉱電車保存会」の藤原義弘理事長は「地域の繁栄も衰退も見てきた歴史の生き証人。動態での保存ができるように活動を進めたい」と話した。(外尾誠)