知られざるアジア 伝える250枚 津で5日から写真展

核といのちを考える

大滝哲彰
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 朝鮮半島での取材を重ねてきた三重県内在住のフォトジャーナリスト伊藤孝司さん(69)の写真展「わたしたちの知らないアジア」が8月5~8日、津市西丸之内の津リージョンプラザ3階展示室で開かれる。市民有志が運営する「フォトジャーナリズム展三重」が主催する。

 伊藤さんは、旧日本軍によるアジアへの植民地支配の被害者に焦点を当てて取材してきた。中でも朝鮮半島では、1985年から韓国を47回、北朝鮮を43回訪れ、原爆の被爆者や帰還事業で北朝鮮に渡った日本人妻を訪ねた。写真展では、こうした取材の中で伊藤さんが「ライフワーク」としてきた四つのテーマで約250枚の写真を展示する。

 テーマの一つ、「原爆棄民」では、広島と長崎に投下された原爆で被爆した韓国・朝鮮人を取り上げている。伊藤さんは83年に長崎を訪れた際、偶然出会った被爆者から「朝鮮人も被爆した」という事実を聞かされ衝撃を受けた。

 当時、韓国で取材した被爆者の多くは、社会の底辺で生活していたという。ケロイドがひどく手足が自由に動かない人でも、まともな治療を受けられていなかった。「まさに棄(す)てられた被爆者だった」と話す。

 日本政府による支援は、2000年代に入ってから実現した。在韓被爆者にも被爆者援護法に基づく手当を支給するなど、援護の対象とするようになった。しかし、北朝鮮に暮らす被爆者には同法による援護が届かない。「日本には何も期待していない」と、ある被爆者は伊藤さんにはっきりと言ったという。

 一方、北朝鮮に暮らす人たちをテーマにした「平壌の人びと」は、今回初めて展示する。1992年に初めて訪朝して以来、平壌や地方で生活する人たちの家を訪れ、取材することもあった。一緒にご飯を食べたり、お酒を飲んだりするうちに、「日常的な生活はほかのアジアの国と変わらない」と感じたという。

 伊藤さんは訪朝するたびに、現地で約5千枚の写真を撮影してきた。「日本の報道では朝鮮の一般の人たちの暮らしが取り上げられることはないが、人々はほかの国と同じようなことを考え、生活していることを知ってほしい」と話す。

 写真展ではこのほかに、戦時中に日本軍の軍属や軍人として戦場に送られた朝鮮人や台湾人を取り上げた「棄てられた皇軍」、日本によるアジアでの環境破壊をテーマにした「環境破壊大国・日本」の写真の数々を展示する。

 入場無料。8月7日午後1時半から伊藤さんによるトークライブがあるほか、5、6、8日の午後1時半からはギャラリートークも予定している。問い合わせはフォトジャーナリズム展三重の事務局(080・5100・5448)。(大滝哲彰)

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