大洗のビーチ、ガラガラ 原因は…サメ?コロナ?五輪?

西崎啓太朗
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 茨城県大洗町の海水浴場の人出が低迷している。例年夏は県内外からの観光客でにぎわうが、海開き直前にサメとみられる生物が現れ、当面、遊泳はできないことに。さらに、首都圏を中心にした新型コロナウイルスの感染急拡大が追い打ちをかけている。観光業界にとっては一番のかき入れ時のはずだが、関係者からはため息がもれる。

 7月29日午後、大洗サンビーチのすぐそばにある駐車場。約7千台を収容できるが、止まっていたのは数十台だった。群馬県から家族5人で訪れた男性(59)は「昨夏に来たときの方が混んでいた。これほど少ないとは」。たびたび大洗を訪れるという土浦市の会社員(27)も「ビーチは秋や冬の平日のように静か」と話した。

 サンビーチは、2019年には7月中旬からの1カ月あまりで約16万人が訪れたが、昨年は新型コロナの影響で海水浴場の設置が見送られた。それだけに、宿泊・飲食業者の間では、2年ぶりの海開きへの期待が高まっていた。

 ところが、海開きを2日後に控えた7月20日、サンビーチ付近の海で男性がサメのような海洋生物にかまれてけがをする事故が発生。町は遊泳やマリンスポーツを当面の間、禁止することを決めた。ビーチ付近にサメが入るのを防ぐ網の設置にとりかかり、近く遊泳できる環境が整う見通しだ。

旅館「「かかってくる電話はキャンセルばかり」

 難題はサメにとどまらない。

 新型コロナの感染拡大で、緊急事態宣言の対象地域は東京都のほか、首都圏の3県にも広がることになった。ここ数日は茨城県内の新規感染者数も100人を超え、大洗町も県が指定する「感染拡大市町村」の一つになった。7月30日~8月12日は、飲食店は午後8時~午前5時の営業自粛が求められている。

 町商工観光課によると、海開きのあった7月22日から始まった4連休のサンビーチの利用者数は「コロナ前」の休日と比べ、3分の1程度にとどまっているという。担当者は「原因はサメかコロナか、五輪をテレビで観戦する人が増えているからか。町内の事業者にとってトップシーズンのはずなのに……」。

 大洗磯前神社近くの「小林楼」は、例年なら7月下旬から8月中旬まで満室になる旅館だ。だが、7月29日の予約は全11室のうち1室だけ。旅館の女将(おかみ)、吉川方子(まさこ)さん(76)は「以前に比べて日帰り客が増えている気がする」と嘆く。

 7月上旬には、首都圏からまとまった予約があった。潮目が変わったのは、東京都を対象に緊急事態宣言が出された7月12日だという。予約のうち、約7割がキャンセルになった。吉川さんは「かかってくる電話はキャンセルばかり。もう電話を受けたくないという気持ちもある。コロナが落ち着くまで我慢するほかない」と語った。(西崎啓太朗)