準決勝敗退の履正社、主将が意地の同点打 弱さの裏に

甲斐江里子
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(7月31日、高校野球大阪大会 履正社4―5興国)

 履正社の主将、松林克真君(3年)はリベンジに燃えていた。興国とは今春の大阪大会でも対戦し、敗れていた。「きょうは勝って甲子園に行こう」。

 1点差まで迫った七回表2死満塁、4番打者の松林君に打順が回ってきた。2、3番打者は凡退。

 松林君も2ストライクまで追いこまれたが、「とりあえず食らいついて行こう」。4球目の変化球を振り抜くと、打球は低い弾道で左翼手の前へ。同点の適時打になり、一塁の上で大きなガッツポーズをした。

 一昨年の夏、履正社は大阪代表として甲子園に出場し、全国優勝した。松林君はこの全国大会で初めて甲子園を訪れた。決勝をアルプス席から応援し、「これが日本一かと鳥肌が立った」。昨年のチームも昨夏の大阪の独自大会で決勝まで進んだ。

 だが、松林君たちの代が最上級生になって以降、昨秋の大会では3位決定戦で、今春は4回戦で敗退した。岡田龍生監督(60)は「この代は試合経験が不足していた。選手たちもお互いに甘やかしていた」と「弱さ」の裏を明かす。

 松林君もチームのまとまりのなさに「野球人生で一番大変だった」と話す。配球など技術面だけでなく、気の抜けた練習をしている部員がいるときは呼び出して注意を続けた。

 夏の大会が近づくにつれ、チームはまとまってきた。「全員で甲子園に行こう」が合言葉になった。この試合、ピンチを切り抜ける度に「よっしゃ!」「ねばった!」とグラブでハイタッチをし、喜びを爆発させた。

 試合は延長に。松林君は「粘って勝つぞ」と仲間を鼓舞し続けた。延長十四回表には、1死二、三塁で打順が回ってきた。しかし、申告敬遠で満塁策をとられた。打つチャンスはなく、後続に期待したが、2連続で内野フライに打ち取られた。

 この回の裏、興国のサヨナラ打を守備位置の三塁から見た。腰に手を当て、うなだれた。「悔しいっていうか、これで終わりか…」。整列すると涙がこみ上げてきた。

 「先輩たちのように自分たちも強くありたかった。でもそれには遠くて、苦しかった」と試合後、言葉を絞り出した。強い履正社のユニホームを着て、甲子園の舞台に立ちたかった。「1、2年生には絶対甲子園に行ってがんばってほしい」。後輩たちに思いを託した。(甲斐江里子)