大阪桐蔭に詰め寄った関大北陽 タイブレーク突入の熱戦

安井健悟
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(7月31日、高校野球大阪大会 大阪桐蔭12―10関大北陽)

 関大北陽は、春季大会の準決勝で6回コールド負けを喫した大阪桐蔭を相手に、九回までに2度リード。延長に入ってからは、互いに「0」を並べ、タイブレークに突入した。

 延長十四回表。マウンドの主将、山田悠平君(3年)は1死満塁のピンチを背負った。打席には4番打者。「苦しい展開で一点もやれない。これまで通り押していこう」

 この日は直球でカウントをとり、スプリットを決め球にしていた。気合を込めて投げた直球はライト前に運ばれ、2人が生還した。その後、アウトを一つ奪うも、再び満塁とされた。山田君はここで降板。チームはさらに3点を失った。

 5点を追う十四回裏は無死一、二塁からのスタート。先頭の田中蓮君(3年)がいきなり適時打を放ち、4点差に。春に大阪桐蔭に大敗した悔しさを晴らすため、練習に打ち込んできた。山田君はみんなの頑張りを思い出してベンチで声を出し続けた。「お前らならできるぞ」。さらに相手の失策と適時打で2点差まで詰め寄ったが、あと一歩及ばなかった。

 父勝則さん(46)も甲子園を目指して、関大北陽でプレーした。しかし、最後の夏は初戦敗退。山田君は夢破れた父の背中を追って、同校の門をたたいた。

 小学生の頃から毎日素振りを確認してもらうなど、二人三脚で野球に向き合ってきた。「お父さんを抜くのが目標だった。甲子園に連れて行って恩返しがしたい」

 高校に入ると、「野球観」をめぐって衝突も増えた。山田君はひとりで素振りや壁あてなどをするようになった。勝則さんは寂しさを感じつつも、息子の成長を喜んだ。主将に指名されたと聞いたとき、「自分にとって甲子園は『夢の世界』。つらいこともあるだろうが、息子には行って欲しい」と思った。

 背中でチームを引っ張ろうと、人一倍練習に打ち込んだ。冬は約4千回連続でバットを振り、「どの学校よりも振った自信がある」と言う。トイレ掃除では便器の裏など見えないところほど丁寧に磨いた。今大会はここまで全5試合で安打を放ち、14打点を挙げた。この日は大阪桐蔭に警戒され、2度の申告敬遠を受けた。5打数1安打で、打点0。「相手の方が気持ちの面で上だった」と悔やむ。

 スタンドで見届けた勝則さんは「こんな大舞台で試合ができるのは幸せなこと。息子に軽く超えられたかなと思います」。

 山田君は言った。「打たれたら終わりという場面で打たれて後悔はあるが、やってきたことは全て出せた。お父さんに『今までありがとう』と伝えたい」(安井健悟)