第4回大統領の電話で豹変の2人 「ミシガンをひっくり返せ」

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ワシントン=園田耕司
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 ミシガン州ウェイン郡で、2020年11月17日午後10時過ぎ、5時間以上続いていた開票検査人委員会の会合がようやく終わった。会合は選挙結果を確定させるためのものだった。大統領選挙から2週間がたっていた。

 その時、委員を務める共和党員のウィリアム・ハートマンの携帯電話が鳴った。共和党全国委員会の委員長ロナ・マクダニエルからの電話だった。

【連載】「トランプの反乱 再選への策謀」

昨年の米大統領選挙での敗北を認めず、「不正」を訴え続けるトランプ前大統領の再選への動きに迫る連載です。連載4回目は、法廷での敗色が濃厚になったトランプ氏が激戦州の共和党員らに働きかけて選挙結果の確定を阻止しようとする動きに迫ります。その一つであるミシガン州での出来事を取材しました。

 ハートマンは、同僚のモニカ・パルマーも近くにいたため、別々に電話で話すよりも一緒に話したほうが都合良いと考えた。パルマーに声をかけて彼女の車に一緒に乗り、電話をスピーカーフォンにした。

 すると、マクダニエルはこう言った。

 「ちょっと待って。大統領があなたたちと話したがっているから」

 スピーカーフォン越しに車内に響いたのは、テレビで聞きなれたトランプの声だった。

     *

 トランプからの電話の内容に触れる前に、当日のウェイン郡での委員会の状況を振り返る。

     *

 この日の委員会は難航していた。10日も前にバイデン前副大統領の勝利確実が報じられていたが、ウェイン郡での選挙結果は確定していなかった。委員会は共和党、民主党のそれぞれ2人ずつで構成され、結果を確定させることになっている。ハートマンとパルマーの共和党員2人が、確定に反対していたため、膠着(こうちゃく)状況に陥っていた。

ミシガン州の共和党員はトランプ氏との電話でどのような会話が交わしたのでしょうか。選挙結果の確定をめぐる民主・共和両党のせめぎ合いとともに取材して伝えます。

 ミシガン州でのバイデンの勝…

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