南北戦争最大の激戦地として知られるペンシルベニア州ゲティズバーグで2020年11月25日、同州上院共和党議員らによる公聴会が開かれた。
【連載】「トランプの反乱 再選への策謀」
昨年の米大統領選挙での敗北を認めず、「不正」を訴え続けるトランプ前大統領の再選への動きに迫る連載です。連載5回目では、バイデン氏の大統領選勝利の決定打となったペンシルベニア州に焦点があたります。トランプ氏が選挙結果の覆しへの働きかけを強める様子を取材しました。
証人として出席したのは、トランプ陣営の弁護団を率いるルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長。その後ろの傍聴席には、数十人のトランプ支持者たちが座った。
公聴会では次から次へとトランプ支持者がオンラインを通じて証言に立ち、「選挙は盗まれた」などと口々に訴えた。出席者たちからはその都度、拍手がわき起こり、公聴会はトランプ支持者たちだけによる「不正選挙」の告発集会といった様相を呈した。
公聴会が始まって2時間が過ぎたころ、委員長を務めるデビッド・アーガル州上院議員(共和党)が腕時計を見ながら、「それでは議員たちからの質問に移ります。30分くらいかな」と言ったとき、ジュリアーニが手を挙げてシグナルを送った。アーガルは「もう一人、証言する人がいるようですね。どうぞ」と笑顔を見せた。
ジュリアーニの隣に座っていたもう一人の弁護団のジーナ・エリスが「大統領に電話がつながりました」と言うと、会場内からは「ワオ!」という大歓声とともに大きな拍手がわき起こった。
エリスが自分の携帯電話をもって目の前のマイクに近づけると、テレビで聞きなれた声が携帯電話からマイクを通じて会場内に響いた。
「ありがとう。私はたった今、オーバル・オフィス(大統領執務室)にいるよ」
出席者たちは歓声を上げた。
トランプが早口でまくし立てたのは、何の根拠もない陰謀論のオンパレードだった。
トランプ氏は何を語ったのか。記事後半では、あの手この手でペンシルベニア州の関係者に迫るトランプ氏の動きに迫ります。
「この選挙結果は、変えない…