国語入試、これが最新傾向 中学は新刊 大学は複数資料

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尾崎希海 上原佳久
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 深呼吸して「国語」と書かれた冊子をめくり、目をこらして文字を追う。入試は未知の物語に出合える場だ。中学入試、そして大学入試、それぞれの出題傾向を探った。受験に頻出する作品からは現代社会の姿も見えてくる。

新刊からの出題、増える中学入試

 進学塾大手の日能研によると、今年、国私立中学入試の国語で最もよく出題された作者は、植物学者の稲垣栄洋(ひでひろ)さんだった。新書「はずれ者が進化をつくる」から採用された。稲垣さんは2019、20年でも1位。評論ながら文章がやわらかく、雑草の生存戦略を人間社会にあてはめるなどユーモアがある点も試験で人気という。

 2位は宇宙物理学者の池内了(さとる)さん、3位に小説家の寺地はるなさんと続く。今年のランキングから読み取れるキーワードは「新作」、そして「多様性」だ。

 進学塾大手サピックス小学部の国語科教科責任者、国定栄太さん(39)は「出版されて間もない、新しい文章を出題する学校が多くなっている」と解説する。

 以前は椎名誠さんの「岳物語」(1985年刊)やあさのあつこさん「バッテリー」(96年刊)、重松清さんの「きよしこ」(02年刊)といった定番があり、事前に子どもに読ませて対策する保護者もいた。

 しかし、10年ほど前から上位難関校を中心に、その年の新刊が積極的に取り上げられるようになった。「その場で初めて出合った文章を読み解いてほしい、ということでしょう」と国定さんは推測する。確かに、稲垣さんの「はずれ者が~」は20年6月、寺地さんの「水を縫う」は同年5月に出た近刊だ。

 頻出作品のテーマは、社会の関心事とも重なる。「はずれ者~」は生き物たちの個性豊かな生存戦略に着目した一冊。寺地さんの「水を縫う」は、裁縫好きの男子高校生が、かわいいものが苦手な姉にウェディングドレスを作ろうとする。今年のランキング4位だった、いとうみくさんの児童文学「朔(さく)と新(あき)」では事故で視力を失った兄が弟とブラインドマラソンに挑戦する。

 「入試問題をつくる教員たちは、子どもに読んでほしい文章を選んでいる。ジェンダーや障害を切り口に、多様な他者にどう向き合うかを問うているのではないか」と国定さんは話す。

記事の後半では、大学入試の国語の傾向を読み解きます。

 ずばり、来年出題されそうな作品は――。

 「正直、予測は立てづらい」…

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