サッカー場に腕組んだ警官、横一列に 香港デモ封じ込め

香港=奥寺淳
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 中国共産党の結党100周年式典が開かれた1日は、香港では中国返還24周年の祝日にあたる。

 民主派団体は1997年の香港返還から毎年行われてきたデモの許可を申請していたが、警察は新型コロナウイルス感染防止などを理由に禁止した。香港メディアによると、警察はこの日約1万人の警官を各地に配置して、記念日に抗議活動を起こさせない警戒態勢を敷いた。

 警察は、これまで民主派がデモの出発点としてきた香港島のビクトリア公園を封鎖。市民が憩うサッカー場に腕を組んだ警官を横一列に並ばせ、警察幹部は「いかなる者でも公園の立ち入り禁止区域に侵入、または立ち止まったら、最高で禁錮1年の罪に問われる」と警告した。

 警察は6月30日、SNS上に「ビクトリア公園で会おう」との画像を載せた民主派団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」(支連会)の鄒幸彤副主席を、公安条例違反(未許可集会の公告)容疑で逮捕するなど、力ずくでデモを阻止する姿勢を見せていた。

 こうした香港の情勢を念頭においてか、習近平(シーチンピン)総書記は1日に天安門広場で行った演説で、「中央政府が香港に対する全面的な統治権を行使し、国家安全維持法制のもとで国の主権を守る」と自信を示した。昨年6月末に施行された香港国家安全維持法国安法)のもと、中国の体制を批判する民主派を徹底的に摘発し、反体制的な動きを封じ込めたことが「安定」につながっていると判断しているとみられる。

 香港政府はこの日、中国への返還24周年の記念式典を開催。政府ナンバー2の李家超政務長官が、北京での式典出席で不在の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に代わってホスト役を務めた。警察出身の李氏は、国安法のもとで民主派の摘発を指揮し、中国に批判的な香港紙「リンゴ日報」を資産凍結などで廃刊に追い込み、6日前に政務長官に昇進したばかりだ。

 李氏は、あいさつ冒頭の約2分半の間に、「中国共産党」と7回連呼し、党100周年を祝福。共産党主導で国安法が制定され、愛国者のみが立候補できる選挙制度に変更されたことで香港が安定すると持ち上げた。

 この日、香港では大半の主要紙の1面は「熱烈慶祝」の大見出しで、共産党100周年と香港返還24周年を祝う全面広告でくるまれた。また、香港名物のトラム(路面電車)の一部車両が共産党100周年を祝う赤いラッピング車になっているほか、1日は特別に2・6香港ドル(約38円)の運賃が無料になった。(香港=奥寺淳