「コロナが期待をのみ込んだ」 路線価、6年ぶり下落

新型コロナウイルス

宮城奈々 松田史朗
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 広島国税局は1日、広島県内の2021年の路線価を発表した。県平均は前年比で0・3%のマイナスとなり、6年ぶりに下落に転じた。16税務署別の最高路線価も11地点で上昇した昨年から一転、9地点で下落した。新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が停滞したことが影響したとみられる。

 路線価は、主要道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額で、相続税贈与税の税額を算定する際の基準となる。毎年1月1日時点で評価し、昨年は新型コロナの影響が反映されていなかった。

 県内の最高路線価は、広島市中区胡町の相生通り南側(福屋八丁堀本店前)の318万円。昨年の329万円から3・3%下がり、9年ぶりの下落となった。全国の都道府県庁所在都市の最高路線価では11位(昨年10位)だった。県東部の最高は福山市三之丸町の福山駅前通り西側の40万円で、昨年の41万円から2・4%下落している。

 一方、税務署別の最高路線価で上昇したのは、東広島市西条本町のブールバール通り(1・9%)と、府中町大須1丁目のあけぼの通り(2・1%)の2地点のみ。住宅地や、宅配の業務用地の需要が背景にあるとみられる。

 県不動産鑑定士協会の村永朋会長は「経済活動が停滞したことで、主に商業地の取引が減少し、県全域にマイナスの影響が出た」と分析。一方で「ワクチンの普及など経済回復への期待感もあり、すでに上半期は回復傾向にある」と話す。

 路線価国税庁のホームページや全国の国税局・税務署で閲覧できる。(宮城奈々)

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 1日発表された2021年の路線価は、広島市中心部の落ち込みが目立つ。

 JR西日本などが再開発を進める広島駅南口。約600億円を投じて25年春に開業予定の新しい駅ビル(地上20階、地下1階)には、ホテルやシネマコンプレックス(複合映画館)などが入る。2階部分に広島電鉄の路面電車が乗り入れる計画だ。

 「広島の顔になる」。JR西幹部がこう意気込む再開発への期待感から、昨年は付近の路線価が前年比で11・2%上昇。ところが、今年は1・0%のマイナスで7年ぶりに下落した。

 さらに下げ幅が大きいのが、中四国で最大規模の繁華街がある中区の紙屋町や胡町だ。昨年は前年比で9・0%上がった紙屋町2丁目の地点が、今年は一転して3・2%下落。胡町の福屋八丁堀本店前も昨年は7・9%上昇したが、今年は3・3%下がった。

 県内の不動産動向に詳しい穴吹不動産流通広島店の田代弘之店長は「コロナ禍が再開発などへの期待ものみ込んだ。オフィスやテナントの需要に陰りが見え、地価上昇の勢いがなくなるタイミングも重なった」と分析する。

 一方、広島駅周辺と紙屋町・八丁堀地区は昨年、税制優遇などがある「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、別の再開発計画も明らかになっている。田代店長は「不動産購入者が重視するのはやはり利便性。今後は以前ほど地価が上がることはないが、大きく下がることもないのでは」とみる。(松田史朗)

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