中国が進める世界規模のデータ収集 「リスク認識を」

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聞き手 編集委員・佐藤武嗣
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 監視、検閲、諜報(ちょうほう)、世論工作――。中国は権威主義国家ならではのデータ収集体制を築き、国内統治や対外影響力を強化する。たとえば、中国のデータ分析会社「中訳語通科技(GTCOM)」は、翻訳や音声認識などを通じて世界規模で事業を展開。中国はこうした企業が収集した膨大なデータを吸い上げ、権力強化のためフル活用する。

 膨大なデータ収集の仕組みをつくり、収集したデータを統治や外交・安全保障に活用する。その実態を「データ・エコシステム(生態系)」と表現するのは、豪州戦略政策研究所(ASPI)のサマンサ・ホフマン・シニアアナリストだ。GTCOMの活動を研究し、一昨年に報告書にまとめた同氏に、中国のデータ統制の現状と、国際社会がどのように対応すべきなのか、聞いた。

Samantha Hoffman 豪州戦略政策研究所(ASPI)上席アナリスト。英オックスフォード大、米フロリダ州立大卒。英国際問題戦略研究所(IISS)コンサルタントなどを経て現職。専門は中国の安全保障戦略と影響工作。

 ――中国が、国内で使用を禁じているツイッターフェイスブックなどのSNSを使い、国際的な発信を強めています。

 「中国による、欧米のSNSの活用はこのところ増えてきている。中国のSNSの使い方、特に外交官による利用の仕方が変化しており、その目的は中国国外での世論形成にあるとみてよい」

 「従来の宣伝や統制をより拡張したもので、その変化には、国内政治のほか、現在の世界における情報環境など、複合的な要因があると思う。中国共産党の正当性や香港、新疆ウイグル、台湾問題で、どのように国際世論を形成していくか模索している」

 ――中国共産党のデータの扱いを「データ・エコシステム」と表現したのはなぜですか。

 「『データ・エコシステム』とは、中国共産党の政治目標と合致する形で構築された、(データに関する)相互作業の仕組みだ。中国政府は、国家の安全に資する広範囲な目的のために、世界規模のデータ収集に取り組んでいる」

 「『国家の安全』には様々な…

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