エヴァで日本の声優に憧れて 夢をつかんだ100回練習

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聞き手・山根祐作
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 劉セイラさんは、中国・北京で生まれ育ち、いま日本でプロの声優として活躍しています。多くのアニメやゲームのキャラクターを演じてきました。アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」では、主人公月野うさぎの弟役。うさぎをからかう「俺はもうちょっとできのいい姉がほしいね。ベー」などといったセリフを聞くと、その発音やイントネーションは、日本語ネイティブでないとは信じられないほど正確です。幼いときに日本のアニメに首ったけになった劉さんは、日本で声優になりたいという夢に向かって突き進み、そして夢を現実のものとしました。日本語とどう向き合い、困難を乗り越えてきたのでしょうか。

 りゅう・せいら 中国・北京出身。北京外国語大2年生のとき、交換留学生として愛知県小牧市の愛知文教大で10カ月間学ぶ。2009年から東京の日本工学院専門学校の声優コースに2年間留学した。在学中に青二プロダクションにスカウトされ、卒業後、声優として本格的に活動を始める。「美少女戦士セーラームーンCrystal」「羅小黒戦記」「pet」など多くのアニメ、ゲーム作品やNHKの中国語講座などに出演。「教えて 劉老師!2カ国語声優の日常」など自ら描いた漫画作品も発表している。

 ――日本語に初めて触れたのは、いつごろだったのですか。

 「幼稚園のテレビで、アニメの『聖闘士星矢』をみんなで見ました。セリフは中国語吹き替えになっていましたが、オープニングやエンディングの歌は日本語のままで、それが初めての日本語との出会いでした。日本語は、言葉ひとつひとつの発音がはっきりしていて、『かっこいい』と感じました。それから、アニメが大好きになって、将来はアニメと関係がある仕事に就きたいな、と思うようになりました」

 ――声優になりたいと思ったのは、どうしてでしたか。

 「小学校6年生のとき、中国語字幕が付いた日本語のセリフのままの『新世紀エヴァンゲリオン』を見て、日本の声優さんの演技に衝撃を受けました。日本語は全然わからないのに、叫んだり泣いたりあらがったりしているキャラクターの感情やいろいろな要素・情報が、言語の意味を超えて、一挙にバーンと来ました。そこから、声優という仕事にも、日本語にも、憧れ始めました」

 「中学生のとき、日本語の文法はわからないけど、ただ耳で聞いたセリフをまねてネット掲示板に音声を投稿していました。エヴァンゲリオンの登場人物、碇(いかり)シンジ、綾波レイなどを1人で演じ分けて投稿したら、『こんなにいろんな声を感情を込めて出せるなんてすごい』『日本に行って声優になって』などの反応がありました」

 「高校3年生のとき、アニメ『鋼の錬金術師』を見て感動しました。主人公エド役の声優が朴璐美(ぱくろみ)さんだと知り、名前だけ見て『外国の人でも声優になれるんだ。私にもできる』と思い込みました。将来の夢を声優に決め、北京外国語大学日本語学科に入学したのです。朴さんが日本生まれだということは、日本に留学してから初めて知りました」

 ――大学では、どのように日本語を勉強したのですか。

 「大学に入ってみたら、同級生の3分の1は、中学、高校でも日本語を学んでいて、ペラペラの人もたくさんいました。私は、50音から覚えなければならない。何としても交換留学生に選ばれて日本に行きたかったので、必死に勉強しました。でも、将来は日本で声優になりたいという目標があったので、それに向かって毎日新しいことを学べることは、楽しくてたまりませんでした」

 「大学は全寮制で、6人部屋でした。学内にある大きめの中庭に授業が始まる前の朝7時ごろに行って、教科書の会話文やアニメの好きなセリフなどを、とにかく声に出して練習していました。『復読機』という音声レコーダーに自分の声を録音して、正しい発音と聞き比べることもよくしました」

 ――音から入り、身につけていったのですね。

 「単語や文章も、私は音から…

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