対外的な強硬発言の背景に「国内の不満」 習近平氏演説

聞き手・小早川遥平
[PR]

 中国共産党習近平(シーチンピン)党総書記(国家主席)が1日の結党100周年祝賀式典で行った演説をどう捉えたのか。静岡県立大の諏訪一幸教授(中国現代政治)に聞いた。

 習氏が「我々をいじめ、服従させる外国勢力を許さない。人民の血肉で築いた鋼の長城にぶつかり血を流すことになる」と語ったときに聴衆から大きな拍手が起こるなど、党の行事であることを考慮しても対外的に強硬で、非常に内向きな印象を受けた。

 習氏の「教師づらをした偉そうな説教は受け入れない」という発言は明らかに米国を意識している。香港・ウイグル問題などを念頭に、人権をめぐる批判に対してのメッセージだろう。米中対立が激しい状況にあるという認識を明確にし、国内に愛国主義の高まりを求める狙いが顕著だ。

 共産党は歴史上、柔軟な選択をすることで100年続いてきたが、強硬な選択肢以外をつぶしていくのが今の政権だ。米国には手を出せないので、身代わりになる形で台湾へ圧力を強める方向になっている。香港でも強権をもって「安定」なるものを実現している。

 同じことは国内格差にも言える。対外的に強硬姿勢にならざるを得ない背景には、教育、医療、住居などの問題への若い世代の反発や諦めがある。習氏が「人民のために」ということを強調するのは人民を恐れていることの裏返しだ。党の正当性を支えてきた経済成長が鈍化したときに、不満を強権的に抑えるしかなくなるだろう。(聞き手・小早川遥平)